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普通なら、いや僕の中での普通でしかないから間違っているのか。
でもそれでも悔しくて、辛くて、悲しくて。
予約していたお店で、二人分予約していたコース料理をお店のご厚意で一人分にしてもらって思う存分食べてきた。
口コミ通りとても美味しかったし、お店もそこで働く人達も凄く感じが良かった。
今日はクリスマス
個室を予約するのにどれだけ苦労したと思っているのだ。
同性の恋人、大っぴらに関係を知らす様な真似はやっぱり出来ない。
でも、それでも僕達は幸せで、想い合っていると信じていたからそんな苦労にも喜びすら感じていたのに。
でも君はそうじゃなかった
携帯は鳴らない
もう、どうだって良い
昨日の事だった、約束をキャンセルされたのは。
彼の友人がクリスマスイブである今日、彼女に振られたらしく、クリスマス当日は独り身は全員集まって皆で慰め会を開く事になったらしい。
「だから明日は会えない、悪い」
今日は元々会えないと言っていたのに、夜に突然やって来て、会うなりエッチをして、さっさと服を着て換気扇の下で煙草を吸いながら、会えないのは決定事項である事を説明された。
でも僕はそれに抵抗した。
いつも彼が友人達を大切にしている事は知っていたし、理解もしていた。
「嫌だ。会いたい…」
いつも仕方ないなと笑って許す、彼はそうならなかった事をとても驚いていた。
二人で過ごす初めてのクリスマス、期待していた、ずっと待っていた。
彼もそれを知っているはずなのに。
「別に良いだろう。クリスマスの次の日にでも時間取るし。お前が予約していた店はもう無理でも、他にも店はあるんだからさ」
簡単に言ってしまうんだな、僕は俯き唇を噛み締めた。
「僕は、恋人だよね?独り身だけなら、明日、行く必要ないよね?」
彼は面倒臭さを隠す事なく、大きく溜め息を吐いた。
「恋人の方が大事だよね?僕が好きなら、明日は一緒にいてよ!」
顔を上げ叫ぶと、怒りに染まる彼の目が僕を静かに見つめていた。
「恋人?ああ、男のな」
僕は目を見開き彼を呆然と見ていた。
「恋人だから優先しろって?そんな言い分が許されるのは女だけだろ。俺は元々女しか興味なかったし、それに恋人がいるなんて誰にも言ってないし、言えるかよ」
痛い所を突かれ、抉られた。
泣きたい、思いっきり泣き叫んでしまいたい。
惨めで、耐えられなくて、消えてしまいたいと思った。
「…うん、そうだよね」
でも、僕は笑っている。
彼が不審そうな目を向けているのに気づき、より笑みを深くした。
「我儘言って、ごめんね」
未だ下着しか穿いていない僕は、周辺に散らばったままの服を集めそれを着た。
「今日はありがとう。また連絡するね」
立ち尽くしていた彼は、何も言わず煙草をもみ消し出て行った。
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