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龍は朝からいなかった。
「...殺しに行ったのかな」
目を覚まして辺りを見渡すなり早紀は呟いた。
「おはようございま...」
リビングへ顔を出すと、そこには冬夜がいた。
「はよ。龍ならもう出たぞ」
心做しか不穏な空気を漂わせる冬夜が何を言いたいのかは明白だった。
「やっぱり、香織さんを殺すんですよね」
「...あぁ。そんで早紀、そのことなんだが...」
静かに頷いて早紀は冬夜の話を聞いた。
「見に行くぞ」
「え?」
てっきり止めるななどと言われる気がしていたが、冬夜から現場に行こうと言われるとは驚きだった。
「俺が行ってどうするんですか...」
「殺し屋っつーもんを間近で見て来い」
少し戸惑いながらも早紀は頷いた。
「お、早紀。どこ行くの?てか行っていいの?」
外へ出ると綾瀬が何食わぬ顔で盆栽に精を出していた。
「ちょっとお使い頼まれて...」
「冬夜はなんで監禁してる奴にお使いなんか頼んでるんだか」
呆れたように言い放つと綾瀬はポケットから何かを取り出した。
「はい、龍の財布。なんだか分かんないけど急いでたみたいで財布も持たないで出てったんだよね〜」
「なんで俺に...」
「お使い、行くんでしょ?」
答える間も無いうちに綾瀬に背中を押され、早紀は頷きつつ走り出した。
『ありがとう...綾瀬さん』
心の中でそう言いつつ財布の隙間から出てきた紙切れに書かれた場所に向かい走った。
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