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「香織さんっ!!」
勢いよく部屋のドアを開けたのは早紀だった。
「...え.........?」
そこにあったのは香織の左胸にナイフを刺す龍の姿だった。
「...何しに来た」
龍は香織が倒れ込むとその場で煙草を咥え、早紀の方を見た。
「...なんで。大事な人なのに、......こんなこと...」
「大事な人か......俺はそんな事1度も思ったことはない」
「ふざけんな!!」
ショックより怒りが勝り、早紀は龍の胸ぐらを掴んだ。
その時だった。
香織が僅かに体を起こした。
「...龍.........」
「香織さん!」
龍は香織の方を見もせず煙草を吸っていた。
「...龍、......ずっと好きだった......。もう会えないと思ってた......でも、あの時偶然...会えて...とても嬉しかった......。お互い知らない相手としてやり直すつもりだった..けど、やっぱり......私は忘れられない...忘れたくなかったの......」
「...あぁ。」
小さな声で返事をすると香織を見ないようにと龍は背を向けて座った。
「...ねぇ、龍......。ほんとは私のこと...嫌いだったの...?ずっと...殺したかったの......?」
「...そんなわけねぇだろ。俺だって...」
龍は何かを言いかけたが、すぐに黙った。
「......そっか。...龍、辛かったね......。ごめんね...もっと早く龍に会いに行ってれば.........」
だんだんと小さくなる香織の声に不安を覚えながら早紀は黙って2人を見つめていた。
「龍......最期まで私の傍にいてくれて......ありがと...う......」
「香織」
龍が名前を呼ぶと香織は嬉しそうに笑い、それっきり動かなくなった。
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