アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
Number:28
-
鼻につく煙草の匂いで目を覚ますと、窓から心地いい風が吹いてきた。
「...あれ、今何時...」
時計を探しているうちに、早紀は窓の外に人の気配を感じた。
そこには煙草を吸いながら何かを話している龍と冬夜の姿があった。
「どうするつもりだよ。いずれ殺すにしたって時間が空けば空くほど殺しづらくなるだろ」
「...そうだな。そのうちだそのうち。」
どうやら早紀について話しているようだった。
早紀は気づかれないように寝た振りをしたまま聞き耳を立てた。
「そのうちそのうちってお前がそんな曖昧な事すんの珍しすぎて引くわ」
「うるせぇな。俺にはまだまだやらなきゃいけねぇことがあんだよ。」
やはり冬夜にもはっきり理由は言っていないようだった。
「なぁ、どうしてあいつを殺さないんだ。誤魔化さずにちゃんと言えよ」
「......」
冬夜が真剣な顔で尋ねると龍は少し間を置いてから呟くように話し始めた。
「...俺は奴らを潰すためにあいつを利用する。つもりだった。」
「つもり...?じゃあ何だ今は違うってか」
「まぁそんなところだ。あいつどうしようもなく真っ直ぐな奴なんだよ。俺もあんな人間に育ってたら殺し屋なんてやって無かったかもしれねぇし、もっといい人生だったかもしんねぇからな。まぁなんつーか、羨ましいってやつだ」
冗談交じりのように苦笑しながらそんなことを言ってのけると龍は早紀の方を振り返った。
「あいつは...もう少し生かしてやっても悪くねぇだろ」
その言葉を聞くと冬夜は笑いながら龍の背中を叩いた。
「はは、お前が本気でそう思うんならそうしろよ。お前の大事な人になるんだろ?」
からかうように笑うと冬夜は先にベランダを後にした。
『大事な人...?!』
早紀は布団に潜りながらばくばくと煩くなる心音を沈めようと何度も深呼吸した。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
28 / 54