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想い【琥珀side】
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中学二年生の夏
蝉の声がうるさかったのを覚えている
空を見上げて微笑む君に恋をした
────────────────────
当時の僕は肩に髪がかかるくらいの長さだった
よく女の子に見間違えられていた
『琥珀ちゃん』と呼ばれズボンを隠されスカートまで履かされた
最初はとても嫌だったんだ
男の目は気持ち悪いし女子は化粧品を押し付けてきた
担任まで悪ふざけをして体を気持ちの悪い手つきで触ってくるようになった
くらくらするほど日差しが強い日、クラスにいるのが嫌で初めて授業をさぼったんだ
暑い…
こんなことなら中庭なんて来るんじゃなかった…
あーあ、優等生のいい子ちゃんで居続けた意味がないじゃないか
「はぁ…」
大きな溜息をつく
「ねぇ、溜息ついたら幸せ逃げちゃうよ?」
誰?
え、なに、幻聴?
とうとう暑さに頭までやられたか
「おーい、大丈夫?」
逆光で顔がよく見えない
「あ、大丈夫です…」
立たなきゃ
あれ…?
なんか、立てない…?
…あ、だめだ、もう無理
ぐらつく視界。
まだ死にたくないな、なんて考えながら意識を手放した
え…ここどこ?
むくりと起き上がる
「あれ、起きたの?大丈夫?」
「えっと、あんた誰?」
ギロりと睨む
「あぁ、はじめまして。
申し遅れたけど西前碧だよ。碧ってよんでね〜」
茶髪のイケメン
もしかしてさっき助けてくれた人?
「ここどこ?」
「保健室。貧血じゃない?顔色悪いよ?」
そういって頬に手を添えられる
びっくりして手を振り払った
「あ…ごめん」
「大丈夫だよ。ていうか女の子なんだからそんなに足広げないでくれる?目のやり場に困るんですケド」
少し頬を赤く染めながらこいつは目線をそらした
こいつも僕を女の子だと思っているのか
仕方なく無理矢理着せられたセーラー服の裾を伸ばす
僕は女の子じゃない!
そう言おうとした時
ピロン
こいつの携帯が鳴った
「あ、実守からだぁ…
じゃあね〜、お大事に」
彼女…かな
幸せそうな顔
はぁ〜っと大きなため息をついた
『ねぇ、溜息ついたら幸せ逃げちゃうよ?』
脳内にあいつの声が響いて慌てて溜息を取り消すかのように空気を吸い込んだ
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