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遡ること1週間前──
prrrrrrr prrrrrrr
朝8時33分、両親が所有するイギリスの別宅で微睡んでいた奏汰の元へ1本の電話がかかってきた。
その時点で奏汰の元々低いテンションは底辺まで下がっていた。
元来朝が苦手な奏汰は、スッキリ起きる努力と称して、アラームで目覚めてから意識を覚醒させるまで10分間微睡むということを習慣として行っているのだが、この間だけは誰にも邪魔されたくないと常日頃から言っていた。
というのも、朝から『一緒に学校へ行こう』だの『声が聞きたかった』だの、休日には『今日遊ぼう』などと、あって ないような用事で気軽に電話してくる友人が奏汰には多すぎた。
なんなの?外国人電話大好きなの?メールでいいじゃん
などと思いつつ軽く受け答えていた奏汰だったが、覚醒したあとならまだしも、覚醒中、最悪の場合だと睡眠中に遠慮なく電話をかけてくる友人に、すぐに耐えられなくなりブチギレた。
それから、家族はもちろんのこと、友人たちも奏汰の朝の時間を邪魔することはなくなっていた。
しかし外国にいれば出会いは数多あり、また同じようなことを招かないために奏汰は朝の時間を邪魔しないよう常々周囲の人間に言っていた。
だからこそ朝、ジャスト微睡みタイムの奏汰に電話をかけてくる者など奏汰の周りにはいない。(いたらそれは命知らずな勇者である)
しかし鳴り響いている電話のコール音。無視を決め込んだ矢先静まったそれに、ようやくかと思いつつ再び瞼を閉じた。
だがしかし、それを許さないかのように間を開けず再び電話が鳴り出した。
起きぬけのまだ覚醒していない頭にガンガン響くコール音に、出ない方がうるさいと判断した奏汰はイライラを隠さず、相手を見ないままスマホをタップした。
『もしもーし!おはよう奏汰!!起きてる?起きてるよね!!!』ブチッ
スマホを耳にあてた途端喚き出した電話の向こうの相手に、何も言わずすぐさま切った。
瞬間震えだしけたたましい音を響かせるスマホをこのまま割ってしまおうかと思いつつタップして電話に出た。
「…もしもし」
『あー奏汰!酷いじゃん!何も切らなくても「うるさい喚くな切るぞ」すみませんでしたぁぁ!』
「チッ…ほんと、なに、誰?」
『酷い!忘れたの!?理人だよ!!』
「そんな人知らないさよなら」ブチッ
prrrrrrr タンッ
『ちょいちょいちょいストーップ!切らないでってば!』
「まじで、頭に響くからもうちょいボリュームダウンして」
『はーい…ねぇ、ほんとに忘れたの?そんな訳ないよね?』
本気で落ち込んでいそうな電話の向こうの相手に、若干の面倒臭さを覚えつつ、本気で拗ねられたらそっちの方が面倒臭いと今度はちゃんと受け答えることにした。
「はぁ…忘れてないけど。僕の微睡みタイムを邪魔する方がいけないんだよ。理人さん、知ってるよね?」
『うぅ…ごめんなさい、もう起きてるかと思って…ごめんね、奏汰、怒らないで…』
年下の自分にそんな態度でいいのかと、電話の相手、もとい叔父である理人に奏汰は呆れた。
まぁ、そんなところも可愛いのだが。
「…今度邪魔したらただじゃおかないけど。まぁ、もういいや。それで、要件は何?」
『ありがとう奏汰!!大好き!!』
「はいはい、僕も好きだよ
で?要件は?」
『へへ…あっそれなんだけど、会いたいなって』
語尾にハートでも付きそうな勢いでそう言われ、本気で切ろうかと思った。
それだけのために僕の微睡みタイムを邪魔したのか。
「今イギリスなんだし、会える訳ないでしょ。ていうかその為だけに電話してきたの?まさかそうとは言わないよね??」
『ひっ…そ、そんな訳ないじゃん〜』
奏汰の低い声に軽く悲鳴をあげる理人。
「理人さん…?」
『ご、ごめんなさい!あっ、でもでも、会いたいなって思ったのは嘘じゃないけど、ちゃんとそれ以外にも理由はあるから!』
「よろしい。手短にね」
『うん、えっとね…───
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