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17.
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「理人さん、そろそろ離れて。案内してよ」
「えー?もうちょっt「こほんっ」…ん?」
完全に理人に認識されていなかったであろう怜が、ようやく存在を示した。
「…私もおりますゆえ、お忘れなく。」
「…いたんだ…っ」
ポカン顔だった理人は、一瞬遅れて真っ赤になった。
「…理事長。失礼ですが、早くご案内して差し上げてください」
「う、うん!今すぐ!」
理人はそう言うと、名残惜しそうな顔をしつつもさっと立ち上がり、足早に部屋の中央に置かれたデスクに戻っていった。
「えーと…あった、はいこれ。」
「これは…?」
差し出されたのはシックな黒いカード。
「これは学園内で何かと必要なカードだよ。まず寮のルームキーとしてでしょ、食堂、購買及び敷地内の施設全てにおいてこれがお金替わりとして使えるし、生徒証にもなる。無くしたら大変だから、気をつけてね」
「そんな大事な機能たちをこの1枚に…うん、気をつける」
「それと…奏汰のには、どんな部屋でも開けられる鍵の機能もついてるから、何かあったらそれを使って?」
急に理人さんが声を潜めた。
「何かって…ああ、そゆこと」
電話で聞いた、"制裁"とやらが行われているところにこれで押し入れ、ということだろう。
「…うん。
大体のことは電話で説明した通り。理事長である僕のところにまで話が届くって、相当なことだと思うんだ。…奏汰、お願いします」
「…僕にできることは、やってみるよ」
「…ま、学園も普通に楽しんでね!ゲイとかバイとか沢山いるけど!」
「…初耳」
…まぁ僕もそうだから問題ないな。
「今日は来たばっかりだし、授業には参加しなくていいよ。寮で休んで。明日は朝教員室に行って、それから担任の先生に教室まで連れていってもらってね。」
「わかった」
「それじゃあ、白雪くんに寮まで案内してもらって。白雪くん、頼める?」
「畏まりました。では行きましょう、奏汰さん」
「ん。理人さん、ばいばい」
手を振ってあげる僕。優しい。
「奏汰!そのカード、理事長室も開けられるからいつでも来てね!!」
「もうこない」
出る間際に理人さんが叫んできたのでそれだけ吐き捨てて出てきてやった。
騒がしい人は嫌いだと言っているのに、学習しないのだろうか。
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