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「せんせー、一ノ瀬せんせー」
「おー、ここだ」
奥の方でやる気なさそうな手がひらひらと掲げられるのが見えた。
失礼します、と断ってから音と手の方へ向かう。
「どうした園田。ようやく抱かれる気になったか?」
「なわけねーだろ。僕は見る専だから!」
音に遮られて先生の姿が見えない。けど第一声目からしてろくな奴じゃないことだけはわかった。
「お前顔だけはいーんだから黙ってりゃいーのになぁ」
「余計なお世話だ!……ってそうじゃなくて!僕は奏汰連れてきただけだから!転校生!」
「ダメだ。んな厄介なもん、どこで拾ってきたんだ!返してこい!」
「あんた担任だろ!ちゃんと面倒見やがれ!」
僕はペットかなにかか?
というか、拾ったということに関して否定しないのはなぜだ、音。
「いらねー」
「いらねーじゃねええ!美人だぞ!」
「さっさと出せオラ」
「変わり身はえーな!」
テンション高いな。疲れそうだ…。
「ふっ、見て驚け!」
密かにため息を飲み込んでいると、音が横にずれて、僕と先生を遮るものがなくなった。
「っ………」
現れたのは ホスト でした。
なんだこいつ…。くたびれた金髪にジャラジャラしたアクセサリー、胸元が開きすぎている派手なシャツ…トリプルコンボか!言動からしてチャラそうな奴だとは思っていたが、ここまでとは…!というか本当に教師なのか?ホストじゃないのか?
「はぁ………」
ぐるぐる回転する頭とは裏腹に、口から出たのは朝から我慢していたため息だった。頭の中でさえ、荒ぶると体力が消耗されるようだ。
「おい園田!美人じゃねーじゃねーか!」
「奏汰はイケメンだけど美人なんですー」
「はぁ?…ったく、お前、名前は?」
「早乙女 奏汰です」
「俺は一ノ瀬だ。2-S担任で数学教師をしている」
「じゃーせんせ!奏汰教室まで連れてきてくださいね〜。僕はこれで!」
そう言って音は颯爽と去っていった。
「おい早乙女。俺はかわいー奴か美人しか抱かねーから。ふっ、期待させちまったとこすまんな…」
「はあ……」
うわ……。なんかカッコつけられた…ナルシストか。ていうかなんの宣言だよ…。
「てか、あの、別に期待とかしてないです」
「照れんなよ」
照れてねぇぇ…!
「………。」
絶妙にイラッとくるなこのせんせー…。もう否定するのもめんどくせー…。
はぁ、ダメだ。口が悪くなってしまった。失礼。
「そういえばせんせ。資料とか貰ってないんですか?」
「あ?んなもん知らねー」
「…この茶封筒は」
「………しらねー」
……時雨さんといい、一ノ瀬といい、ここの教員、まじで大丈夫なのか…?
いや、大丈夫じゃないからこんななのか。アウトなのか。今度理人さんに報告しよう。
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