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食堂の前に立つと、ふと昨日のことを思い出した。
耳が割れるような悲鳴が耳の奥で蘇った気がして、不快感が身体を駆け巡って鳥肌が立った。
あ、でもあれは副会長…怜が一緒にいたからか。んん…でも洸も親衛隊がいるって来る途中言ってた。
どうしよう。俄然入りたさが失せてきた。
「どうしたの?」
ドアの前で突っ立っていると、音が後ろから声をかけてきた。
「んー…悲鳴が…」
「じゃー耳塞いでおいたら?」
やっぱそれしかないか…。
意を決してドアに手をかける。と、
「奏汰。これつけるといいよ」
そう言って洸が耳栓を渡してくれた。
「…いーの?」
「ああ。俺は使わないから」
「…ありがと」
ありがたく受け取り、耳にはめ込んだ。
なんで持ってたんだろ?
「えー僕もほしーい!」
「残念。音の分はなかった」
「ちぇー」
…やべ、耳栓したら2人の会話が全く聞こえない。
「音、もういっていい?」
「うん」
頷い…た?から多分、大丈夫だよな。
耳栓つけると弊害があるな…でも便利だ、これ。
今度佐々木に届けさせよう。
恐る恐るドアを押し中に入る。
『きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!』
「は………」
すごい…!多少の悲鳴が聞こえなくもないけどほとんどの音がシャットダウンされてる…!
「奏汰、あそこ空いてるよ」
……耳栓考えた人すごいなぁ……。尊敬する…。
「奏汰ー!」
僕もこういう発明したい。もっと便利に暮らせるように…。
めんどくさいからやらないけど。佐々木にでもやらせよう。
「奏汰!!」
「!」
痛い…腕引っ張られた。
音が口をパクパクさせてなにか訴えてるけど全くわからない。
「早く座ろう!」
え?なに、聞こえない。
「食堂イベント始まっちゃうからー!!」
「アホ!」
んー?って何もわかってないフリで首を傾げて音がじたばたしてるのを眺めてたら、きゅぽって耳栓を外された。
「あ、聞こえるようになった」
洸の手元には貸してもらってた耳栓。
「奏汰…!」
怒られちゃった。
あは、洸にはバレてたっぽい。
「あ、そっかー耳栓してるから聞こえなかったんだね!」
アホの子よ…。
「あそこ、まだ席空いてるから!早く!」
からかわれてたことに気づいてない…そっとしておこう。
音曰く、食堂イベント?とやらが始まるらしく、急かされるまま空いていた席に3人で座った。
音にオムライスを頼むよう懇願されたけど丁重にお断りして、フォンダンショコラを注文した。
数分後やってきたフォンダンショコラたちに音は不満そうな顔してたけど、僕はオムライスは食べたい気分じゃなかったから仕方ない。
ていうか自分で注文したらいいのに。
とろとろのフォンダンショコラに舌鼓を打っていると、にわかに辺りが騒がしくなった。
と同時に音の目がキラキラと輝き出した。
「くるよ!」
「え、?」
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