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29.
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─バァァァン…!!
音が興奮気味に顔を上げたと同時に、豪快な音がして食堂の重い扉が勢いよく開いた。
そのうるささに目を細めたのもつかの間、耳をつんざくような悲鳴が食堂中から沸き起こる。
「奏汰!ほら、生徒会のお出ましだよ〜!」
嬉々として腕を揺さぶる音に対し、奏汰は耳の奥から脳にかけて余韻を残す今しがたの黄色い声にダウンしていた。
「…の………」
「奏汰…大丈夫…じゃないよな」
「えっ、あっ、耳大丈夫!?そうだった、ごめんねえええええ!」
テーブルに伏せていると、洸に背中をさすられる。バクバクと速くなった脈拍が落ち着いていく感覚が心地いい。
それなのに音はうるさくてダウンしてる僕に畳み掛けるように大声出して…心配する気ある?
耳が痛い…。いや、本当の意味で。
「奏汰さん」
突然背後からかかった声にいち早く反応したのは音だった。
「奏汰!うしろ!」
いつまでもそうしてるんじゃない、と言われるかのように肩を叩かれる。
ゆるゆると体を起こし振り返ると、そこには怜とその仲間たち?がいた。
「っ…!!お前かっこいいな!!名前なんて言うんだ?」
目をシパシパさせていると怜の斜め後ろにいた黒い…塊が口を開いた。
え?塊……え、喋った。人か…そしてとてもうるさい。
「なあ!名前教えろよ!!」
チラ、と音に目線を送る。と、音がすごい顔をして首を振った。教えるな…ということだろうか?
「あかる、こちらは早乙女 奏汰さんです。あかると同じ転校生ですよ。」
僕が黙っていると、痺れを切らしたのか代わりに怜が口を開いた。ふんわりした笑顔とともに。
「そうなのか!!奏汰!よろしくな!!これから昼か!?一緒に食おうぜ!!」
「いや、今食べてるから…」
僕の前にある食べかけのフォンダンショコラが目に入らないのだろうか。
「そんなんいいだろ!!俺たち友達だろ!?」
友達…になった覚えはない。ええ…無理…。
「あかる、昼は俺と食うっつってただろ。」
「かいちょー抜け駆けはダメだよ〜」
「そうだよー!」
「僕達と!だよ!」
「………だ、め…」
なんかめっちゃ喋りだした…。今まで怜のうしろにいた無駄に顔が整ってる人たちが、わらわらと黒い塊を囲むようにして話している。
「奏汰さん、こちらは私の所属する生徒会のメンバーです。順に、会長、会計、庶務、それから書記です」
「カナタってことは〜、この子がふくかいちょの言ってた例のあの子か!」
例の…?
「陽斗!」
「ども〜 俺は日野 陽斗っていって、せーとかいで会計やってま〜す カナタくんだよね?よろしくね〜」
考える暇を与えられる間もなく、怜に陽斗と呼ばれたヘラヘラした奴が目の前に出てきて自己紹介をし始めた。
正直よろしくしたくない。
「どうでもいいが、あかるは俺様のもんだからな」
更に後ろから黒い塊に肩に手を回した赤い髪の…さっきの怜の紹介からすると会長?から威圧的な視線を向けられる。
新しい人多すぎ…。
「おいっ!俺を無視するなんて酷いんだぞ!!」
「そうだよね〜」
「謝りなよ〜」
今度は水色の髪のそっくりな2人が出てきた。わけがわからん。
えーと、さっきの怜の紹介だと……ダメだ、もう覚えてないや。
助けて、って音の方を向くけど、なぜかにこにこしてやがるし、洸も必死に目を逸らしてくる。薄情だ………。
「え……と、ごめん?」
とりあえず謝っておく。よくわからないけど。
「謝ったから許してやるぞ!俺は優しいからな!」
「優しいですね、あかる」
相変わらずふんわり笑顔の怜が黒い塊の頭を撫でる。
怜が他の人と話してる姿をほとんど見たことがないからか、少し違和感。
「そこの君!」
「そこの君!」
と、反対側からかかる声の主はさっきの水色の髪の2人だ。本当、スピード感すごい……疲れる。
「「僕達は〜」」
「瀬楽 栞と!」
「瀬楽 澪だ!」
「「双子の生徒会庶務だ!」」
そっくりな顔をした2人が順にびしっとそっくりなポーズを決める。
というか、突然名乗られてもなんだか…という感じなのだけれど。
「………はあ」
「ちょっと、反応薄くない?」
「やっぱり、やめようって言ったじゃん兄さん」
「でも自己紹介してなかったじゃん!」
「そうだけど…」
「あれやるよ!」
「は〜い」
「えーっと…あれ、名前は?」
「そういえば聞いてないね、兄さん」
教えろ、というように目線を向けられる。
「あー、と……早乙女 奏汰」
「早乙女!」
「くん!」
突然名前を言ったかと思えば、瀬楽兄弟?がぐるぐる回り始める。
あ、止まった。
「「さあ!どっちがどっちか、当ててみろ!」」
「……こっちが澪、こっちが栞」
2人の頭にそれぞれ左手と右手を置きながら言う。
と、2人とも驚いたように目を見開く。
「ま、まぐれかもしれない!」
「もう1回だ!」
またぐるぐる回り始めた。
何がしたいのだろうか。
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