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本番
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移木(うつりぎ)の街から魔族領に最も近い場所へと瞬間移動し、死の樹海の前にやって来た。
「相変わらず不気味な森だなぁここは」
戦士の言葉に思わず同感する。
ギャァギャァと鳴き飛び回る怪鳥や人の言葉のような声を発する魔物など、ここには様々な化け物が生息している。
気を引き締めて行かなければ、一瞬でやられてしまう。
ごくりと唾を飲み込み、樹海に足を踏み入れた。
「急げ!こっちだ」
目と鼻の先にある扉めがけて全力で走るように叫ぶ。
必死に走るそんな私達の後ろからはドロドロに皮膚がただれた大きな体躯から幾本も触手のようなものが生えている魔物が追ってきていた。
「ちょっと勇者!あれ何とかしなさいよ」
「無理だ、あいつには火しか聞かない。むやみに攻撃すれば毒霧を吐き出す」
「何だよそれ!あんなの前はいなかったぞ!?」
本来なら魔法使いに頼むところだが、このパーティの魔法使いは火属性の魔法が使えない。
しかも僧侶が毒消しのスキルを持っていないときた。
私は多少の毒には耐えられるがその他はそうはいかない。少しでも触れれば即死だ。
アッシュさんがよくこんなパーティでやっていけてたなと思うと同時に、このパーティのせいで怪我を負ったのでないかとさえ思えた。
ぎりぎりのところで魔王城に滑り込み、急いで扉を閉める。
「つ、着いたー!」
「まだ喜ぶのは早い。問題はここからだ」
わっと歓喜に打ち震えるメンバー達に水を差すようで悪いが、気を引き締めるように注意する。
「んな固い事言うなよ。せっかく喜んでんだから──」
その時、突然ヒュっとした音と共に戦士の姿が消えた。
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