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待ち人 sideルカ
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ノヴァが言った先代魔王に生き写しという言葉に、驚愕した。
だって、それは彼が先代魔王の子だという事を意味しているのだから。
「そうらしいね」
けれど、驚く私とは対照に彼はまるで他人事のように淡々と答えた。
「らしいって…君は先代の魔王を知らないのか?」
「知らないね。ていうかつい最近までその魔王の息子だって事も忘れてたし」
「忘れていた?」
「半年くらい前にいきなりあっちの世界…あー…こっちでいう異世界ね。そこから呼び戻されてさ。それまで普通に人間だと思ってたのに実は魔王の息子でしたーとかラノベにありがちな設定聞かされてもねぇ。実感わかないし、魔王やってとか言われても面倒臭いし。おまけに、こっちなら楽しめるかなって思ったけど期待外れもいいとこだったし」
はぁー…と深い落胆の溜め息を吐いて、彼は玉座に腰掛け、その長い足を組む。
肘掛けに頬杖をついて、感情のない冷徹な赤い瞳をゆっくりと俺に向けると彼はゾクリとする程の笑みを浮かべた。
「けど、アンタが来た」
「私…?」
「前の魔王が勇者に倒されたって聞いたから、魔王が復活したって噂を流せば当然俺を倒しに勇者さん御一行が来るでしょ?だから俺、準備万端で待ってたんだよね」
準備万端、と言った彼の言葉にはっとした。
ここへ辿り着くまでに遭遇した数々のトラップを思い出す。
「あのトラップは君が仕掛けたのか」
「そうだよ。あんな子供騙しに引っかかる奴なんて、俺はお呼びじゃないの」
にっこりと口元だけ笑い「お呼びじゃない」と言い放つ言葉に、次々と消えていった彼らの声が脳裏に蘇る。
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