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虚
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「ずっと、つまらなさそうな眼をしている」
「───……」
『柳瀬(やなせ)っていっつもつまらなさそうな顔してるよな』
つまらなさそう。
子供の頃から何かって言うと必ず言われる言葉。
「アメが魔王だという事は認めよう」
「…そう、やっと信じたんだ」
「しかし、先程から聞いている限りアメには私たち人間をどうこうしようという意思は全く感じられない」
「どうこうするも何も、別にこっちの世界の人に恨みとか特別な感情はないからね」
当たり前だよね。
「君はずっと待っていたと言った。自分と相対するに相応しい人間が来るのを。それは何故だ?」
「何故って…」
そんなの決まってる。面白そうだったからだ。
最強最悪だと謳われた前の魔王を倒せる程の人間がこっちの世界にはいるんだ。
それはつまり、俺が魔王になれば俺と同じくらい強い人間もいるって事で。
「異世界…だったか。先代魔王に子がいた事には驚いたが、アメのその表情に漸く合点がいった。君はあちらの世界でも飛び抜けた存在だったのだろう。記憶が無くとも、その身体は魔王の血を受け継いでいるのだから」
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