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欠落 sideルカ
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魔王の息子。
それは私達人間からすれば脅威の対象だが、彼は──アメはそんな世界とは無縁で育ったのだ。
アメが暮らしていたという異世界がどんな所かは分からないが、きっと平和で、平凡な当たり前が溢れる世界だったのだろう。
他よりも優れた自分の能力。
他からは羨ましがられるそれは、彼にとってはとてもつまらないもので。
然したる努力をせずとも大抵の事は出来てしまう。
それはアメが見せた高度な魔法の数々を見れば明らかだ。
しかしアメは大した興味もなく、ただ淡々と、息をするようにやってのけていた。
何の期待もしていない、つまらなさそうな眼で───。
だから、ただ純粋に勿体ないと
やりがいや楽しいといった感情を与えてあげたいと思った。
この世界がつまらない事ばかりではない事を知って欲しいと。
目の前にいるのは紛れもなく魔王という魔族の頂点。
けれど、ふとした瞬間に見せる寂し気な瞳が子供のようだった。
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