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試み sideルカ
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ゆっくりと重苦しい音を立てて、背後の扉が閉まる。
途端、それまで騒がしかった空間に静寂が落ちた。
「何だぁ?お前人間か?」
「どうやってここまで来たんだ?」
「次の回収日はまだ先だぜ?」
ギャハハハと下品な笑い声を上げる魔族たち。
ざっと見た所、その数は予測した通りのようだ。
奥にどっかりと我が物顔で魔具を片手に座っている一際大きな魔族に目を向ける。
確かに。アメが言っていた通り、その面構えは万人受けしなさそうだ。
例えるならばガマガエルによく似ている。皮膚がヌルヌルだ。
「私は勇者だ。麓(ふもと)の村からお前達の所業に迷惑していると依頼を受けてここへ来た」
「ああ…?勇者ぁ?」
ピクリと眉…がどこか分からないが、それっぽい柄の所が動く。
「人間共め、大人しく言う事を聞いてれば良いものを…。それで?オレたちを倒しに来たのか?勇者サマ?」
「いや、出来れば荒事にしたくない。お前達が彼らから奪ったものを返し、ここから立ち去るとさえ約束してくれれば私は大人しく帰ろう」
「約束ぅ? ギャハハハハハッ!聞いたかよ?オレたちが約束すれば大人しく帰るんだとさ!この勇者サマは」
「する訳ねぇだろ!オレたちは魔族だ!誰の指図も受けねぇよ!」
「腰抜けめ!さっさと尻尾巻いて消えちまえ!」
「…………」
はぁ、と溜め息が零れる。
「どうあっても聞き入れる気はないという事か」
「最初からそう言ってんだろが!」
「そうか…」
仕方ない、か。残念だ。
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