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「いやいいよ。別に嫌じゃないし」
それにルカが言ったんじゃん。夜の山は危ないって。
それが分かってるのに強制するほど俺は鬼じゃないよ。魔王だけど。
そう答えるとルカは野宿できる場所を探して、再び歩き始めた。
「ただ山で野宿って初めてだなって思っただけ」
「そうなのか?」
「そうだよ。こっちと違って、あっちの世界はもうほとんど緑がある所なんて減っちゃってるからね」
「緑がないなら一体何があるんだ」
「人工物」
「人工物?」
「そ。魔法とかはないけど代わりに科学力が進歩した世界。魔族とかモンスターは空想の世界の存在にされてる。こっちみたいな職業もないし、大抵はサラリーマンになるね」
「さらりー…?ふむ…そのカガクとやらは分からないが、アメの話を聞く限り平和で安全そうな世界だな」
「多分ね」
「多分?」
「俺が住んでた所は戦争を放棄した国だったけど、今でも何かしらの争いは続いてる所もあるし。それに昔はどこも事あるごとに国同士で戦争してて、その中に俺が住んでた国も入ってたんだって」
「…こちらのように魔族等はいないんじゃなかったのか?」
「理由なんて何でもいいんだよ。言葉とか見た目とか信じてるものが違うとかね」
「…そうか。どこの世界もあまり変わらないのだな」
「そうかもね」
「アメは、」
そこで言葉を区切ったルカが歩みを止めて振り返った。
「あちらの世界に戻りたくないのか」
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