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杞憂
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正直あれは目に毒だった。
…駄目だ。思い出したらあの時の気分が蘇ってきた。
よし。焚き火の枝を拾いに行くついでにこの辺りを巡回してこよう。
そうすればその内落ち着くだろう。
池から離れすぎないように注意しながら枝を拾い集めていく。
「───」
人の気配だ。それも足音を忍ばせて近付いてきている。
恐らく一人。
そのまま気付かないふりをして、焚き火をしていた所まで戻る。
何食わぬ顔で枝を火にくべていると、案の定そいつが背後から飛び掛かってきた。
素早く剣を抜いてその喉元ぎりぎりに突き立てる。
「うわ!」
「何か用か」
「あら~…気付いてたのか、よ!」
「っ、待て!」
月光に照らされた赤毛が揺れたかと思うと、ダガーの切っ先が頬を掠めた。
その隙に赤毛の男は素早い身のこなしで逃げていく。
直ぐに追い掛け、赤毛の男を追いかけ回す。
「っ、アンタしつこくない!?」
「では何の用だったのか吐け」
「んなもん決まって――うわ危なッ」
横切りを寸での所で交わした赤毛の男がとある方へ向かって行く。
しまった。あっちにはアメが…!
しかし、急いで駆けつけた私が見たものは大量の魚にまみれてピクピクとのびている先程の赤毛の男と、腰に布を巻いただけのアメの姿だった。
振り向いたアメの髪から水が滴り落ちていて、二つの月光に照らされた白い肌が何とも言えない妖しい雰囲気を醸していた。
そんなアメからさり気なく顔を背けて、赤毛の男を見下ろす。
聞けばこの大量の魚はアメが採ったらしいが…何故その魚に赤毛の男はまみれているのだろう。
アメ曰く「大した事はしていない」らしい。
しかし、私が来るまで決して時間は多くなかった事を踏まえると
どうやらこの男は何かアメの機嫌を損ねる事を言ったようだ。
アメの恰好からして何を言ったのかは想像に難くないが。……見たのだろうか。
いや色々聞くのは男の目が覚めてからにしよう。
だから
アメ、頼むからそろそろ服を着てくれないか。
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