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工業都市・レール sideアメ
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ロンドンってさ、むかし霧の都って言われてたよね。
正確には大気中の水滴から成る霧だけじゃなくて、煤煙っていう工場から出た排気煙も含まれたんだけど。
え?いきなりそれがどうしたって?
要するにね。俺が言いたいのはどっかにガスマスク売ってないかなって事。
俺がスヨスヨ眠ってる間に目的地に着いたらしくて、起きた時にはもう工場地帯っぽい街の中にいた。
鉄とオイル臭い匂いに、街のあちこちからニョキニョキ生えてる煙突がモクモク黒い息を吐き出している。
まあそれがこの都市のトレードマークらしいんだけど。
うん。まあ一瞬で顔顰めたよね。だって見るからに空気悪そうなんだもん。
お馬さんとバイバイしないで回れ右したかったよ。ほんとに。
空気清浄機欲しい。おっきいの。
とか(割と本気で)思いながら、ルカのマントで鼻と口を覆ってたらいつの間にか建物の中に入ってた。下向いてたから気が付かなかった。
もう大丈夫だよね。屋内だし。あれ、そういえばここって何の建物だろ。
「いらっしゃい!どれくらい宿泊の予定で?」
「取り敢えず三日頼む」
「はいよ!」
ああ、宿屋だったんだ。にしても喧(やかま)し…威勢のいい声だね。何か商売人って感じの声。
「…………」
…ん?
ここで初めてまともに相手の顔を見た俺は思わず二度見した。
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