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曰く
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それは、まるでどこぞの宝探しダンジョンのワンシーンのように
天井から差し込む一筋の光をあびて
その存在を主張していた。
なーんてね。
わざとかってくらいRPG感満載の演出だったからちょっと俺もそれっぽい語りをいれてみたんだけど。
どう。それっぽかった?
あれ引っこ抜いたらテレレレッテレー♪って音鳴んないかな。勇者は聖剣を手に入れた!みたいなナレーション付きで。
「それか?私に見せたいというのは」
大きさはルカが使ってた奴とそんなに変わらなそう。おじさんの背丈よりはだいぶ大きいけど。
…でも。何だろう、明らかに他のものとは違う異質の気配を感じる。
「…ねえ。それ別に壊れてなさそうなのに何でここにあるの」
「これは『訳あり』のもんでな」
「訳あり?」
「どういう訳か幾ら研いでもてんで鈍(なまく)らなままなのよ。依頼主も不明だし、もう何年もここにある」
おじさんが剣の刃を指でなぞる。その指に切れた痕はない。
「しかもどんだけ熱しても溶けねえときたから打ち直す事もできねえ」
それもう『訳あり』っていうか『事故物件』って言わない?
しかも武器屋が鈍刀(なまくらがたな)を客に勧めてくるとか。どういう了見。
「それは…些か武器として致命的のような気がするのだが」
「普通ならそうだろうな。おれもあんたじゃなかったら絶対に勧めねえよ。こんなもん」
「私じゃなかったら…?」
よく分からないという風に首を傾げるルカ。え、ここまで聞いてまだ分かんないの?
くいくいとルカのマントを引っ張る。
「ちょっと。本気で分かんないの?」
「え?」
何であのおじさんがルカに武器としては事故物件の物を勧めてきたと思ってんの。
そんなの、欠点を補えるだけの利点があるからに決まってるじゃん。
「お。そっちのあんたは分かったみてえだな」
当たり前でしょ。ここまで言われても分からないとか、それ何ていう馬鹿?
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