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報告。
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午前零時、マフィアのアジトを抜け出して梟谷のアジトへ戻ろうとしていた。
約数十分でアジトへ着く。
応急処置として付けられている玄関を一応ノックし、自分であることを伝えると開けてもらえた。
「赤葦!大丈夫だったか!?」
「はい。特に問題ありませんでした。」
「っていうか、帰ってくるの早くね…?」
「すぐに情報入手できたので。…早速ですが、一つ分かったことは本当のボスは他にいる、ということです。」
「ど、どういうこと…?」
猿杙が前のめりになって赤葦に顔を近づける。
「小見さんと猿杙さんが突き止めたのは、いわゆる代理ボスなんです。ちなみに明日、その本当のボスが来るらしいです。」
「アイツら…情報の攪乱までできたのかよ…!」
「それが、そのことを知ってるのはほんのごく一部らしくて…」
それでも二人ともこの件に関してはかなり悔しいらしく、顔をしかめていた。
「でも、なんでそのことを赤葦が…?」
「なんか、お前はいずれ高い地位に着くだろうとかニオイが違うとかですぐ教えてくれました。」
「そんなこと言う奴現実にいるんだな。」
鷲尾が珍しくツッこんだ。
同じことを思っていたのか他のメンバーも吹き出す。
そして赤葦は本題に入ろうと思い、口を開く。
「あとこれも、聞いてくれますか?」
赤葦は胸ポケットからレコーダーを取り出してテーブルに置いた。
スイッチを押すと男が自慢げに話す声が流れ出した。
聞き終えると、木兎がダァン!と握りこぶしでテーブルを思いっきり叩いた。
そのあと、怒りからか拳をわなわなと震えさせていた。
「なんだよ…こいつ…殺してやりてぇ…」
「それは全員思ってることです…」
「明日、みんなで殲滅に行こうか。」
猿杙の言うことに首を横に振る者はただの一人もいなかった。この場にいる全員大賛成だった。
「一ついいか…?そのマフィア組織の人間を一人でも殺すのはナシだ。いつも通りに。」
殺してやりたいと口に出した木兎が言ったことに全員が目を見開いて驚いた。
が、その中でも赤葦が特に動揺した。
「な、なんでですか…?木兎さん、殺してやりたいって…」
「そりゃあ本当は殺してやりたい。けど、それじゃあ反マフィア全体がもっと世間から叩かれるだろうし、報酬も貰えないだろ?」
赤葦はカッとなり、木兎の胸ぐらをグッと掴んで壁に強く叩きつけた。
「木兎さん…それ本気で言ってんスか…?この期に及んで世間の目…?報酬…?ふざけんじゃねえよ!木葉さんが殺されて悲しんだのは形だけかよ!?アンタがそんな人間だとは思いませんでした!見損ないました!!」
「違う!そういう意味じゃねえ!」
「何が違うんですか!?アンタにとって大事なのは結局体裁や利益の方なんだろ!?」
「だから違うっつの…落ち着けって赤葦!!」
木兎が胸ぐらを掴んでる赤葦の手を引き離す。怒りで力が強まってるはずなのに、木兎にたやすく離されたのが悔しかった。
「俺が言いたいのは…そんなことして木葉が喜ぶのかってことだよ…それと、報酬は全部、木葉のために使おうと思ってる。」
「木葉さんの…ため…に?」
木兎の言ったことの理由がわかると、赤葦は手に力を入れるのをやめた。
勝手に決めつけて、カッとなって…何してるんだよ俺。
そう思い、自分の浅はかな思考を恥じる。
「まあ、俺もややこしい言い方して悪かったよ…けど、そういうことだからさ…」
「いえ、俺こそすみませんでした…。」
「リーダーの意見に反対の人…はいない、か。じゃあ、作戦会議速攻で終わらせるよ。赤葦も早く帰らないとマズいと思うしね。」
そうして練った作戦はこうだ。
まず、本当のボスが現れたとき、つまり赤葦が会う直前にメッセージを送ってから今回は全員で突入。
そしてボスにバレないように、逃がさないように静かに殲滅を始める。
なんてことはない、単純な戦法だ。
そんなこんなで夜が明ける前に赤葦はアジトへ戻った。
午後2時、代理ボスからついて来い。と声がかかった。
すぐに返事をし、ボスが来たというメッセージを一斉送信した。
その後に、「反マフィア組織が殲滅に来ました。すぐにボスの部屋に来てください。」という内容をとあるマフィアの人間に3分後に送信されるよう設定した。
……ごめんなさい、今からみなさんのこと裏切ります。赤葦は心の中でそう呟き、部屋を出た。
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