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59.
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ーーーそして、待ちに待った終業式。
「じゃあ、期末テストの成績表返すぞー」
その声に、どくんと心臓が脈打った。
……とうとう返ってくるんだ。
早く見たいような、返ってきてほしくないような。
そんな気持ちでも。
「綺羅」
あっさり自分の番はまわってきてしまう。
返ってきた成績表を伏せたまま、そっと目を伏せる。
……勉強は、した。
でも、ぼくは、ちゃんと"自分が立てた目標"を、超えられてるのかな。
ごほうびの、デート、できるかな。
きっと、ぼくが目標をクリアできていなかったとしても、充さんはデートしてくれるんだろうけど。
はじめての、大切なことくらい、自分で努力して、手に入れてみたい。
……なにもかも、"あたえてもらう"んじゃなくて、ぼくが"勝ち取り"たい。
ぎゅっと目を閉じたまま、成績表をめくる。
どくどくとせわしなく動き続ける心臓を、制服のうえからおさえつけて、覚悟をきめた。
「…………」
そのまま、うっすらと目を開けると。
「………………!」
並ぶ数字は、全てが3桁だった。
自分の目にうつるものが、信じられなくて、パチパチと目を瞬く。
けれど、何度瞬きしても、何度見直しても、視界にうつるのは、同じ数字で。
最初にこみ上げたのは、純粋な驚き。
そして、そのあとにこみあげたのは。
…………とてつもない、よろこびで。
先生が、終わりの挨拶をするのもそこそこに、教室を飛び出した。
パタパタと、まだあまり人気のない廊下に、ぼくの足音が響く。
向かう先は、たったひとつ。
いつもの半分もかけずに辿り着いたその扉を、2回、ノックする。
けれどそこで、ハッと我に返った。
いるかどうかもわからないのに、夢中で走ってきてしまった。
それに、仮にいたとしても、充さんはきっとまだ仕事中で。
……どうしよう、迷惑だったかな。
ふと、不安になった。
そもそも、同じ家に住んでいるのだから、家に帰ってから言えばいい話なわけで。
きゅうにこわくなって、じり、と一歩後ずさった時。
「めぐむ!」
すぐ近くから、聞きたかった、その声が聞こえた。
「!」
びっくりして、そっちを見ると、息を切らせた充さんが立っていて。
ぼくが何か言うよりも先に。
「おめでとう!」
そう言って、ぼくを抱きしめた。
急な展開に、ついていけなくて、目を白黒させる。
それでも、先生の香りに包まれて、安心してしまいそうになるけれど。
「…………!」
ハッと気付いた。
ここ、廊下……!
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