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会食で
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勝手に選び買ってくれたジャケットと綺麗目なシャツを着て、今隆之は皆川さんの隣に座り豆腐懐石を頂いていた。
美味しい‥かなり美味しい。コンシェルジュとして懐石料理や高級レストランの店にはかなり詳しくなっていたが詳しいのは味ではなくて予約の取りやすさや場所などであった。
カラーン、と目の前に広がる日本庭園から鹿威しの音まで聞こえて非日常で優雅だ。
取り引き相手は米国人のお爺さんで、皆川さんは流暢な英語で会話をしている。
コンシェルジュと言う仕事柄、海外からのお客様をお迎えすることも多い。英会話は勉強中の隆之も頑張って聞き取り相槌を打ったり、商談の間に雑談をしたりしていた。
とりあえず役目かな、と二人にお酌をしたり先方のジョークに笑っていたりしていると、ふいに皆川さんに日本語で話しかけられた。
「気を遣わなくていいぞ。」
「いやっ、でも‥接待みたいなもので、その為に俺をお呼びだったのでは?」
「米国人は恋人をすぐ同伴するんだよ。恋人や妻がいて一人前みたいに思ってるしな。この爺さんの奥さんは先日亡くなったばっかだから一人だけどな。」
ちょっと!いくら日本語が分からないだろうからって失礼じゃ‥!俺のことは放っておいて仕事して下さいっ!
目だけで必死に訴えると、分かってるとでも言うかのようにまた取り引き相手に向かいあった。
あ、でもやっぱり昼間の俺の女になれって言葉はプライベートなものではなかったんだな。
仕事で同伴が必要だっただけなんだ。ホッとするような、悩ましく思った分悔しいような気持ちでヤケになり食事の続きを食べた。
「let me handle it!!」
皆川さんが急に立ち上がり取り引き相手に握手を求め、商談が決まったのだと分かった。
やっぱりこの人、凄いんだな‥。いつも無表情な事が多い皆川さんが快活に笑っていたものだからついついじっと見つめてしまった。
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