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皆川さんの話
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「どれも美味しそうですねー!!」
目の前に運ばれてくる数々の料理に興奮が収まらない。真っ白なお皿に彩り鮮やかな季節の野菜を使ったテリーヌ、ニース風サラダ、真鯛のポワレ、ほほ肉の赤ワイン煮とどうやらフレンチの定番らしいメニューが並ぶが馴染みのない隆之は食べ方に迷う。
綺麗に食べなきゃ恥ずかしいよな‥。
「美味しく食べればそれで良い。」
隆之の戸惑いを察したのか皆川さんがスマートにフォローを入れてくれる。
なんか慣れてるよなぁ‥。
「そういえば、皆川さん。今日お酒飲まないんですか?」
「まぁ車だし。それにこの前も飲んでいなかっただろ。俺、酒は飲めないんだよ。」
「えっ?会食の時、飲んでなかったですか?」
「あれはノンアルコールのビールだっただろ?お前、本当に俺に興味ないんだな。結構ショックだな。お前は?少しは飲めるのか?」
「甘いものは?」
「いつも食事はどうしてるんだ。」
矢継ぎ早に質問をされるも、食に拘りが殆どない隆之は曖昧に答える。
「はぁ。お酒は嗜む程度ですが。甘いものも、まぁ好きなのかな?頂き物とか休憩室に置いてあると食べます。食事は、そうですねぇ‥まぁ良くてファミレスで大体はコンビニ弁当かファストフードですね。」
ガシャンッ!
フォークとナイフを持っていた皆川さんがテーブルの上にそれを置いた。
「はぁ〜?それ健康に悪すぎるだろ。自炊しないのか?」
こくんと頷き、怒られそうで下を向くと皆川さんの溜め息が聞こえた。
「お前、これから俺と調査に付き合え。俺は酒が飲めないからその辺の調査は出来ないからな。お前は食事がきちんと食べられて、俺は誰かと意見交換しながら調査に行ける。良いだろう?」
一人で行くと頼めるメニューも二つ、三つが限界だからな、酒とデザートは長谷川が担当しろ。とまるで決定事項の様に話してくる皆川さんに何と言ってお断りしようかと言葉を選んでいると、
「いつが休みだ。」
「固定で決まっているのは水曜日です。」
「よし。じゃあ次の水曜日は横浜の立ち食いフレンチに行こう。」
何だか丸め込まれた気もするが、オーナーの言うことだし仕方ない‥のかな。
「おい。つい俺も楽しく食事をしていたが、今日の本題だ。長谷川、何でデッサンモデルなんか引き受けた?」
黙り込む隆之を促すように、皆川さんは落ち着いた声色でゆっくりと話し出す。
「俺もな、この仕事を始めた当時は客の言うことは何でも聞けば良いと思っていた。」
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