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2ー14
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時雨side
時計を見ると、4時半を回っている。
だいぶ、時間がかかったな。
俺は、山のようにあった書類を全て片付けた。
この、調子なら明日からは咲の仕事をもうちょっと減らせるな。
あいつの顔色やばいし……
休みあげねぇと。
昔みたいに、倒れられても困るからな。
俺は、一息つくと立ち上がって大広間に行った。
大広間には、組員が結構集まっていた。
親父はまだ来ていない。
俺は、組員達のあいさつを受けながら自分の席に腰を置くと咲が寄ってきた。
「若、仕事終わったんですか?」
「まぁな。
山本、明日からはもっと俺に仕事を持ってこい。
お前、俺の分もやってるだろ。
明日からは、それも持ってこい。」
「っ、分かりました。」
咲は、少し渋った顔をして言った。
こいつ、変な事考えてねぇといいけど。
俺と咲は、それなりの付き合いで、咲の事は分かってるつもりだ。
俺が、考えていると急に部屋が静まりかえった。
親父だ。
俺は、立ち上がって挨拶をすると組員達も一斉に挨拶をした。
「皆座れ。」
親父の言う通りに、大広間にいる全ての人間が席に座る。
この、親父がいるだけで緊張感は計り知れない。
無言の中、親父が口を開いた。
「近頃、関東2番手の藤宮組、東北で半分ほど仕切っている橘組との、抗争がある。
三つ巴になるのは、間違いない。
それに今回は、おそらくデコが動いてくるだろう。
油断は、絶対にするな。
いいな。」
親父が言うと、俺も含め組員全員が返事をした。
「「「「はい!!!」」」」
「で、篠崎今の状況を教えろ。」
親父が言うと、篠崎は前に立って喋り始めた。
「まず、藤宮組は最近資金集めが非常に多い事が見られます。
今回の為の、準備をしてるかと思われます。
それと、如月組のシマでほんの少し問題も起こしています。
その次に橘組は、最近ハジキの購入が多いです。
それから、よく東京で目撃されています。
問題は、まだ起こしていません。
それから、デコはまだ何も情報はあがっていません。
そして最後に、一条美由紀イチジョウミユキが今回関わってると思われます。」
俺は、最後の言葉に心臓の鼓動が早まった。
一条美由紀。
真白と出会った日。
その日も、美由紀と会っていた。
俺の、初めての恋人。
そして、俺の憎む相手。
俺は、あいつにいつも人生を狂わされる。
殺したいほど、憎い。
真白だけは、守ってみせる。
俺は、1度考えるのをやめて前を向き直ると親父と目が合った。
「なぁ、時雨。
お前は、若頭だ。
それだけは、忘れるなよ。」
「はい。」
「さて、これからの予定だが、4日後にここにもう一度集まってもらう。
それから、ワシらも何もしないんでは話にならん。
資金、ハジキを密かに集めろ。
そこの指揮は、橋下に任せる。
最後に、これだけは頼むぞ。
絶対にこの組から手を出すな、いいな。」
「「「はい!!」」」
「じゃあ、仕事に戻ってくれ。」
親父の言葉で、組員達は部屋を出ていった。
俺も、部屋に出ようとしたら親父に呼び止められた。
「時雨、少しワシの部屋で喋らないか?」
「分かりました。」
俺は、自分の部屋には戻らず親父の部屋に行った。
親父は、椅子に座って俺は、部屋の中央にあるソファに座る。
「大丈夫か?時雨。」
「何がですか?」
「一条美由紀の事だよ。」
俺は、なんていいか分からなかった。
大丈夫と、言えば大丈夫。
でも、分からない。
俺は、俺自身の事が全然分からない。
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