アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
2ー15
-
無言の時間が続いた。
なぜなら、俺は親父になんて言ったらいいかわからなかっただ。
そして、無言の時間を破ったのは親父。
「なぁ、時雨。
お前、自分自身の事が分かってないのか?」
「っ!」
「図星か……
なぁ、時雨ちゃんと口に出して言うてみ。
一条美由紀の事、どう思っとるんや?」
「…憎い。
憎いに決まってる。」
「それだけ、なんか?」
それだけって、それだけだろ。
他に何が、あるんだよ。
何か、頭痛てぇ。
何かが、ひかかってる。
俺は、いつの間にか横に来ていた親父に背中をさすられていた。
俺は、どうやらちゃんと呼吸が出来てなかったらしい。
「時雨、ちゃんと深呼吸しい。
落ち着くから。」
俺は、言われたとおりに深呼吸をする。
暫くすると、息が落ち着いてきて楽になった。
「悪いな、親父。
俺って、記憶一部無くしてんのか?」
「……無くしてる。」
「そっか。
いつ頃失くしたんだ?」
「お前が、17歳の時だ。」
「荒れてた時代か。
その記憶について、親父は知ってるのか?」
「知っている。
その記憶が、抜け落ちたせいできっとお前はどう思ってるのか分かってない。」
「そうか。
その記憶って、一条美由紀に関係あるんだよな。」
親父は何も言わずに頷いた。
俺は、どう思ったらいいか分からない。
記憶喪失って、まじか。
何で、今まで知らなかったんだよ。
ていうか……
「なんで、親父は今俺に言ったんだ?
なぜ、俺に今まで教えてくれなかったんだ?
他に知ってる奴は、いるのか?」
「凄い、質問の量だな。
何で、今か。
これから、一条美由紀と関わるしな。
頃合かと、思ってな。
それから、何で今まで教えなかったかは、時雨が不安定になると思ったんだよ。
でも、教えた方が良かったかな。
あと、この事を知ってる奴らは……
篠崎、久保田、杉村、わしの4人だ。」
「隼も知ってるのかよ。」
「そりゃな。
お前の1番近くにいた、存在なんだろ。
知ってて、当然だ。
記憶喪失を1番に気付いたのも、杉村だからな。
あやつは、凄い。」
「あぁ、そうかよ。
俺は、じゃあ今日は帰るわ。」
「ん?分かった。
そうだ、今度真白くんも連れてきてくれ。
ワシも、またおじいちゃんになりたいからな。」
「分かった、分かった。
じゃあ、失礼します。」
俺は、そう言って部屋を出た。
俺は、自分の部屋に向かうために廊下を歩いていると、咲と会った。
「咲。」
「あっ、若。
親父との、話し終わったんですか?」
「まぁな。
それより、咲。
今日はもう、お前帰って休め。」
「は?」
「家に仕事道具何も持って帰るなよ。
絶対だ。
若頭命令だ。」
「えっと、な、何でですか?
俺、何かしました?
この大事な時期なのに、休めなんて。」
「倒れられると、困るからな。
咲は、俺の大事な右腕だ。
休息だって必要だろ。
だからな。」
「でも……」
「異論は認めねぇ。
俺は、帰るじゃあな。」
俺は、無理やり話を切り自分の部屋に入って、椅子に座り落ち着いた。
頭が一杯過ぎて、生理する時間が欲しいからだ。
俺は、目を瞑り深呼吸をして今日の事を色々と振り返り、これからの事を考えた。
その中でも、1番にでてくるのは、やっぱり真白だ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
135 / 268