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ガバッと布団を剥いで起き上がると、小さく呼吸した。
「……なあ悠人」
返事はない。
それも当然なわけだけど、一人で夢の中に浸っている悠人にイラっとする。
落ち着かない心中をどうにかしようと、爆睡している悠人の頬を摘んでみた。
起きねえし……
その時、唐突にデスクの本が倒れ「ひっ」と声が漏れる。
いや、だっさ。どんだけビビリなんだよ俺。
やけに薄暗い部屋は子供の時から慣れているはずなのに、なぜかそわそわする。
携帯の画面は二十三時を表示していた。
今、白澤さんに電話を掛けたら間違いなく出そうだ。
あの人はいつ寝ているのか分からないくらい、いつ仕事の用事で掛けても電話に出る。
かと言って今かける必要あるか……?
寝つけないなら悠人を起こせば良いのだろうけど。
ぐっすりと眠っている悠人の横顔を見下ろすと、キスした時の感触を思い出して恥ずかしくなる。
親ともキスした覚えがないのに、不思議なほど自然に求めてしまう。
ドキドキし始める心臓を鎮めるためにそっと頬へキスした瞬間、悠人の腕が腰に回ってきてビクッと大きく体が跳ねた。
「っう、わ⁉︎」
「……っとにお前は、素直じゃねえな」
ななななんで起きてんの⁉︎
絶対に寝ていると自信があったのに、ベッドに押し倒されて心臓が破裂しそうになる。
「…………ね、寝てたんじゃないの」
「寝れるわけないだろ。お前、佐伯隆二って奴に触られてねえよな?」
「は……? 触るってなに」
「そいつと会ったんだろ。髪でも体でも、触らせてないよなって言ってんだ」
若干イラついている悠人に困惑した。
思い切り、腰とか色々触られたんだが……
「……何もない」
「嘘つけよ、なんだ今の間。本当の事を言え」
「さ……撮影する時のポーズ指導してくれたのが佐伯さんだったし、触らせるも何も仕方ないっていうか……」
「へえ……。で? 触れられてときめいたって訳か」
「違っ、ときめいてないし、ビックリはしたけど……つか、なんでいきなりそんな事言うんだよッ」
「他の奴に触られたくないからに決まってんだろ」
そんな事を真顔で言われてしまうと、俺も心臓が持たない。
恥ずかしさから目を合わせられなくなり、顔を背けてしまった。
「……意味、分からないんだけど」
「お前の事を狙ってる奴がいるって何回も言った。女でも男でも、腹立つんだよ。弓弦が毎回襲われてんのをどんな思いで助けに行ってるのか、いい加減分かれ」
子供のようにふてくされた顔をして、俺を抱き締めてくる悠人。
それがなんでか少し、可愛いと思ってしまった。
いや、悠人は全然可愛くないけど。
重なり合う心臓の鼓動が伝わってくる。
俺ばっかり、ドキドキしてんのかと思ってた……
「悠人……心臓の音、凄い」
「うるせえ、わがまま王子」
「ふ、クク……っ」
ホッとしたと同時になぜか面白くなって、必死に笑いを堪える目元に涙が浮かぶ。
「何笑ってんだ、この野郎」
「ふふっ……やば、なんか……ウケる、ふははっ」
「とうとう壊れたか……」
腹を押さえて控えめに笑っていると、悠人の手が頬を撫でてビクッと震えた。
「そうやって笑っとけよ、いつも。可愛い顔してんのにもったいねえ」
「…………」
普段は見せない悠人の優しい視線に鼓動が大きくなる。
「あんま笑わねえ奴の笑顔ほどクるものはないな……勃っちまった」
「はっ……⁉︎ や、やめろよこんな夜に! 明日起きれなくなるだろ!」
「良いじゃん、まだヤリ足りてないし」
「わ、待て! 脱がすなッ」
悠人の手がパンツに掛かってゾクッと疼く体。
俺の意思に反して、こいつは悠人を求め始める。
そんな事は許さない……はずなのに、悠人の指先に触れられるととうとう抵抗できなくなって、俺は自然と腕を悠人の方へ伸ばしていた。
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