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廊下は走らない
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こんなに落ち着けたのは久しぶりな気がする。
こんなにも安心するのはどうしてだろう。
いつまでもこの時間が続けばいいのに…
だけど…それはいつも叶わない…きっと今回もそうだ。
ずっと、この温もりが続けばいいのに………………
「ん………?」
「落ち着いたか?」
徐々に頭が冴えてきた…のはいいが、それと同時にもう少しだけ冴えないでほしいと思った。
何故なら今の俺は先程会ったばかりの男に抱えられ背中をさすってもらっている。
俺は眠ってしまった…のか?いや、気絶したのか?
よく覚えていないが、とても怖かったのは確かだ。
「大丈夫か?すごい怯えてたけど」
「怯えてた?……俺が?」
お前以外に誰がいるんだよと言わんばかりの眼差しを向けられ終いにはものすごく大きな溜め息。
「まぁ、あれだ。とりあえず1回抱かせろ」
「やめろ!何したいのか知らねぇけど俺を巻き込むな!」
怒鳴りつけた後、再び服の中に突っ込もうとしていた手を振りほどいて部屋を飛び出した。とりあえず少しでも離れなければと思い、知らない場所をひたすら走った。
たとえ道に迷ったとしてもこの学校の敷地内から出なければ問題ないだろう。今はあいつから逃げないと。
とにかく逃げることに必死で周りをよく見ていなかった。角を曲がろうとしたが何かにぶつかってしまい、ドンっという衝撃を受け倒れた。
「痛って……」
「おいおい、廊下は走らないって何度言えば…ってなんで私服?」
上を見上げると怠そうに頭をかきながら俺を見下ろしてきたスーツを着たそいつは…恐らく教師だろう。珍しいものでも見たかのように何度か瞬きをしている。
「あー、…すいませんでした。」
「本当にね、軽い衝突事故だよ。危ないから廊下は走らないこと」
何故か説教をされながら差し伸べられた手を取り起き上がる。
きょろきょろと辺りを気にしている俺を不思議そうな顔をして見てくる。
「お前どうした?迷子?ここの生徒じゃなさそうだし」
早くしないとまた捕まってしまうと焦っていた俺は早口になりながらも目の前の教師らしき男に事の成り行きを話した。
「あー御子柴か…あいつ手出すの早すぎ。仮にもまだ、うちの生徒じゃないのに…困ったやつだな」
「俺、逃げないと。また捕まるのは嫌だ」
「おい。たった今、走るなって言ったばっかりだろ?」
そして再び走り出そうとしたが腕を掴まれて「匿ってあげる」と言われ闇雲に走っても疲れてしまうし捕まる可能性が高いと思い大人しくついて行くことにした。
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