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GrassGrass!!!
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「あっあのー円?なんで僕の上に乗ってるんだ?詳しく説明求む」
「今から加々美といいことしようって思ってな」
無愛想な表情のまま圧し掛かられている加々美の体内には、非常事態を告げる警鐘が鳴り響いていた。これはまずい。
なんでこうなったのか動機は不明だが、円の瞳に映る色欲のまなざしに嫌でも理解させられてしまう。
流されると、大事なものがなくなってしまうのは確実だった。
シーツの柔らかい感触を背中に沈め、加々美は困った顔で見下してくる円を見た。
どこまでもふてくされたような相貌。無駄に悪ぶろうとして失敗した金髪が目に眩しい。
「ふざけないでくれ!僕は攻めなんだよ!バリタチなんだよ!」
「うっせえ!俺が攻めてやるからてめえはアンアン泣いとけばいいんだよ!」
かっと瞳孔を見開いて威嚇すると、加々美は口を噤んでしまう。一生懸命にらみ返すが、情況的に円のほうが有利だ。
いくら加々美の目つきが鋭くても後手に回ってしまった時に勝負はついていた。ちなみに目つきが悪いのは視力の低下により、目を細めることが多くなったからだ。
視力矯正の役割を果たす眼鏡が外された。
ぼやけて不快感を与える視界に、加々美は不機嫌そうに抗議の声をあげる。
「僕のメガネかえせ!何も見えないじゃないか!」
「いーんだよ。今は俺だけ見てろよ馬鹿」
ちょっとだけ照れくさそうにそっぽを向きながら円が言い返す。
その言葉に加々美の抵抗がぴたりと止まった。これをいい機会に、円は加々美の足の間に膝を入れた。本格的に危険を感じ取った本能が泣き叫び始める。
「うわ!ちょっとやっぱり駄目だ!僕は攻めじゃないと………!」
「気持ちよくしてやるからおとなしくしてろゴラァ!」
「ぎゃっぎゃああああ!!!!」
加々美の視界が暗転した。
「うう、もうお嫁にいけないよ僕………」
しくしくすすり泣く加々美の頭を円は容赦なく叩いた。力加減をせずにぶんなぐられ、加々美は「なにするんだよ!」と傷心中にも関わらず怒鳴った。
「なんだよ俺とするのが嫌だったのかよ!?」
「嫌じゃないけど俺に攻めさせてほしかったんだけど!」
「やかましい!俺はお前を攻めたかったんだから仕方ねえだろうがよっ!」
お互い一歩を譲らない言い合いの果て、力尽きた加々美に、円は小さな声で言った。
「とりあえず俺と付き合えよ。お前が攻めたいんならいくらでも攻めさせてやるからさ」
円なりの告白に、加々美は目を丸くする。いつもツンツンしていて刺しか身にまとわない花が初めて素直になった瞬間だった。
軽い沈黙の先に、加々美は口を開く。何を言うか、考えもせずただ思ったことを口にだす。
「………とりあえず眼鏡返して」
「色気もくそもねえなコラ!」
「いだだっ!だから円の顔が見えないんだって!俺に見せてよ!」
「うううううるせえ!見んな!今のおれを見るな!情けない顔してっから!絶対これは返さねえからな!」
「円の意地悪うううう!!」
バカみたいに言い合いをしているが、もう加々美の答えは最初から決まっていた。とりあえず眼鏡が返ってきたらしっかりと返事をしてあげようと思う。
彼らなりのハッピーエンドとは、いかなる形だろうか。
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