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幼い頃の夏の日1
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あの事件の頃。俺は、むやみやたらに何かを心の中で馬鹿にするような子供だった。
今から考えれば虚勢を張っていたのだろう。両親が亡くなり爺さんに引き取られた俺は、周りから可哀想と言われるのが嫌で堪らなかった。プライバシーを重視する都会の生活を送っていた俺にとって、自分を可哀想な子供だと扱い、「可哀想可哀想」と言いながら、お節介をやいて自己満足にひたる村の奴らが嫌いだった。
さっさと学校を卒業して大学に行きたかった。
そんな俺には更に不快な奴がいた。それが伊達 公彦だった。奴は難病を抱えていたらしいが、いい歳をして周りから子供のように扱われ、それに甘んじている姿は不様の一言で、侮蔑や軽蔑の念しか抱かなかった。関わりたくなかったから近付かないようにしたのに、奴は何故か俺に対抗心を抱き、何度も突っ掛かってきた。その度に適当にあしらっていたが、ソイツに対する嫌悪感は積っていた。
そんな生活にイライラしていた時に、あの事件が起こった。【稲葉村大量突然死事件】ある日、体が怠くなったと感じると急速に衰弱し、数日後には死に至る原因不明の病。
だが、俺達は見た。血を啜り人を殺す化け物を。大人達に話すことを提案してくる奴もいたが、それは無理だ。どうせ話しても分かってもらえない。なのに、友人の内の一人が親に話してしまった。
ソイツは親に俺と遊ぶなと言われておしまいだ。そりゃそうさ、村が吸血鬼に襲われているという事実よりも、都会から来た不良に悪い影響を受けていると考えた方が簡単だ。
しかし、ソイツのせいで動きにくくなった。以前なら多少の夜更かしをしても許してもらっていたのに、ソイツが親にチクったせいで村中に噂が広がってしまった。親は息子達が変な事をしないように見張るようになってしまった。
親の目を盗んだ吸血鬼探し。
そんな中、俺達はオッサンと出会った。
その日は、友人と墓荒しをしていた。何故ならば死人が出歩くと噂に聞いたからだ。此処は土葬な為に、死体に吸血鬼が何かをしたかもしれないと思ったからだ。棺桶を掘り出し、蓋を開けた瞬間。死人が友人に襲い掛かった。咄嗟に頭をスコップで叩いて離したが、死人は再び襲ってくる。気が付くと、山の中から死人の群れが現れた。そう、それはまるでゾンビだった。
フィクションの中の存在が目の前にいた。
追い詰められた俺達が、奴らに喰われそうになった時、背後から銃声が響き死人達が次々と倒れた。振り向いた先にいたのは、黒いコートを着たオッサンだった。
オッサンは吸血鬼を倒す為に来たそうだ。俺達はオッサンに協力を申し込んだが断られた。子供は安全な場所にいろと、明日の夜にはかたをつけると言われた。俺達は不承不承帰宅した。
そして次の日の朝、親友が死んでいた。何故、護符をオッサンから貰っていた親友が死んだのかは分からない。俺達は無事だったのに……。もしかしたら、厳格な父親に取り上げられたのかもしれないが、そんな事はどうでもいい。まるで見せ付けるように、血の一滴もない状態で親友が惨たらしく死んだのは紛れもない事実だった。
俺達は再びオッサンに協力を申し込んだ。今度は受け入れられた。
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