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侵入者
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その日は、授業計画書を書く為に帰りが遅くなった。教師という仕事は、書類書類と鬱陶しい。慣れない事務仕事でケツと手首が傷む気がして、気晴らしにタバコを吸いながら、自宅のドアノブに手を掛けようとした。その瞬間、何年間も鍛えられた六感が警告を発した。煙草を吐き捨てながら、思考を張り巡らす。
部屋の中、違うな。部屋のベランダに一体か……。久しぶりの襲撃者に気を引き締める。此処は、何重もの結界に囲まれ、守護獣達に守られている。そんな場所に、一切騒ぎを起こさずに侵入する事なんて、生半可な者では有り得ない。
ならば、誰か?高度な阻害の術をかけているのか、妖気で特定できないが、なんとなく誰かは予想できる。アレだ・・・・・・白鬼。思わず舌打ちする。
白鬼は以前の事件で知り合ってから、何故か俺に執着している鬼だ。喧嘩好きとは名ばかりの戦闘狂であり、異常者である。毎回犯罪スレスレな事を仕掛けてくる。
今は馬鹿に構う暇はないのだ。ようやく見付けたアイツは、どうやら俺を避けているようで、接触出来ない。しかも、俺はアイツとの接触が禁止されている為、公に動くことが出来ない。どうやってアイツと接触して、どうやって話し合うか悩んでいるのに、厄介な奴が来て腹が立つ。さっさと、白鬼の好きな殺しあいをして帰らせるか。
自室の扉を開いたと同時に踏み込み、窓を蹴破りながら、ベランダに立っていた人影に抜き放った刀を相手に突き付けた瞬間、その人物の正体が分かり驚いた。
「なっ!?」
「夜分遅く申し訳ありません。川蝉 吉正様」
俺の刀の先にはアイツがいた。
月光に輝く硝子片に飾られるようにして佇むアイツは、俺を見ると頭を下げて一礼した。
それが、伊達 公彦との再会だった。
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