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夏の日の川原
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熱い熱い太陽が照りつける川原。
その岸辺の砂利の上でしゃがんで波を眺めていた。川の向こう岸で楽しげに遊ぶ幼馴染み達。その日に焼けた肌を見て溜め息を吐く。今日は一日我慢して日に当たってみたが、肌は純白のままで気持ち悪い色の肌は冷たい。
なんとなく岸辺から水面を覗きこむが、そこには相変わらず貧相な顔が映し出されていた。自分の顔だが不快に思い、石を川の中に投げる。すると、水面は水紋によって乱れ、自分の顔が消えた。
乱れた水面を見て、何だか気分が良かった。ニイと唇の端を吊り上げ、更に石を幾つも投入する。暫くして周りに石が無くなってしまった為、手頃な石がないか見渡した時、空から何かが降ってきた。
それは目の前の水面に落ちて派手な飛沫があがり、夏の陽射しに照らされてキラキラと光った。一瞬鷹かと思ったが違う、鷹は水の中に入らない。岩場から飛び降り、水面を突き破って水中から現れたのは一人の少年だった。
都会から引っ越してきた当初は生白かった肌は、この数日で小麦色になっており、その滑らかな肌の下には発展途上ながらも美しい筋肉が息づいている。背丈は低めだが、手足が大きいからきっと身長が伸びるだろうと予想できる。この辺りでは殆どの男は短く刈っているのに、まるで女のように無造作に肩まで髪を伸ばしていた。烏濡羽色の髪の間から覗くのは、切れ長の瞳と端整な顔。それを見た彼は、一瞬だけ体が熱くなり鼓動が跳ねる。
だがしかし、それはすぐに冷えきる。
「チッ」
まるで道端の糞やゲロを見てしまったように顔をしかめた鷹の少年は、彼と目があったにも関わらず無視して立ち去ってしまった。川の中を河童のように泳ぎ、小さくなっていく背中を見て彼は唇を噛んだ。
「なんだよ」
ポチャン
石を投げる
「なんだよ」
ポチャン
石を投げる
「僕だってお前なんて嫌いだ」
太陽の陽射しはカンカンと少年達に降り注いでいたが、彼だけは木々の影になった暗がりに踞り、その体は青白く冷えきっていた。彼は鷹の少年を暗い瞳で睨み、「やっぱりお前なんて嫌いだ」と囁いた。
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