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初夜 -3-
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木田は寝室に入るなり、パジャマ代わりに着ていたスウェットを自分の荷物の塊の上に脱ぎ捨てて、ボクサー1枚になった。
件のボストンバッグはベッドの傍に近づけておいて、なるべく掛け布団を崩さないようにしながらめくってシーツの上に胡坐をかく。ベッドの背に少し寄りかかり気味になった。
シーツも布団もまだ乱れが少なく、昨日か今日に干されて整えられたものであることが分かる。室井は自分のことを思いながらベッドを整えてくれたのだろうかと考えながら、先ほどの扉を挟んでのやり取りを思い出した。
何を言うにもさらりとしている室井の声色に、普段ならまずないような変化があった。室井も同じように、照れを感じているのだ。
木田はつい1人で笑ってしまった。
今日1日セックスのことで頭がいっぱいで空回りしていた自分は、室井の目にどれだけ間抜けに映っていたことだろう。自分はどれだけ室井について幻想を押しつけていたというのだろう。
室井だって男だ、自分より年上とは言え人並の性欲もあるであろうし、しかし今宵初めて男とするともなれば、躊躇いや緊張や、何かしら気持ちを強張らせる思いもしよう。
笑いをこらえようとしてもつい口元がニヤける。
嬉しいのだ、いつもの室井の凛とした佇まいが崩れ新たな一面が見られることが、そしてそこに自分が関わっているということが。
どうにか口の筋肉を落ち着かせると、頭に浮かんでくるのは室井の身体と、真正面から見下ろす室井の表情であった。
やっぱり抱きたいな。
身体がじんわり熱くなってくるのを感じながら、少し所在なくなって寝室のドアを見ていると、丁度のタイミングで室井が部屋に入ってきた。
室井は下は黒いジャージズボンを履いていたが、上は肌着一枚だった。
「もう、準備万端だな」
室井の言葉はやはりいつもよりも少々かぼそさがあり、半裸の木田に向ける視線も泳ぎ気味だった。
さっきまであからさまに動揺していた自分のことは差し置いて、室井の動揺を映す所作に、木田はたまらなく愛おしさを感じた。
「だってもう待ちきれねぇよ……」
木田はベッドから立ち上がりゆっくり室井に近づいた。
室井は少し頭を俯けがちになりつつも、視線はしっかりと木田に向けて歩み寄っていった。
2人の身体がぶつかる手前で木田の右手が室井の腰を抱き寄せ、左手は室井の頬を包んで顔を少し上に向かせる。
そのまま自分の顔を寄せて室井に口づけをした。
「ん……」
室井の吐息がかすかに口の端から漏れる。お互いに唇を開き、舌を絡ませたり唇をついばんだりしながら、徐々に呼吸を乱していく。
木田の背中に室井の腕が回ると、木田は室井の腰を更に強く引き寄せて、下着の中で膨れ上がった自分のペニスを、同様に固くなっている室井の股間部分に押し寄せた。
室井の腕の力が強くなる。唾液のたっぷり溜まった口腔を貪りあいながら、2人は腰を揺らして布の上からペニスを擦りつけ合った。
木田は女にそうする時との違いは認識できたが、少しつっかかりやすいと感じるだけで生理的な抵抗感は特に抱かなかった。
室井の身体をベッドに向けて誘えば、室井も自分からしゃがみこんでボスンと音を立てた。木田も室井の上に乗るようにしてベッドに上がる。
ギュッと室井の身体を抱きしめたあとで、室井の顔を見下ろした。その艶っぽさは、空想に描いていた以上のものだった。
唾液で光る唇はどこか名残惜しそうに薄く開かれ、いつもまんまるに開かれる瞳は何か訴えかけてくるように細められている。
下半身に直接来るような色気に、木田はたまらずまた室井をきつく抱きしめた。
「愛してる」
耳元で囁くと室井の身体がピクッと震えた。そのまま熱い吐息を混ぜながら耳の縁を舐めあげると、声を漏らして木田の身体に抱き着いた。
木田は上体を起こして室井の肌着をめくりあげた。室井が少し肩を浮かせたので更に上にたくしあげる。頭と腕からその肌着が引き抜かれた。
彼の身体をベッドに下ろして、まだ洗剤の香りが残る室井の身体を指と舌で撫で回す。
室井のペニスが腹の辺りに当たって、ヒクンヒクンと動いているのを木田は感じていた。
腹の辺りを舐めていると室井の身体が少し大きく震えたが「くすぐったい……」と手で頭を退かされた。
木田は名残惜しくも頭を上げると、室井が履いたままの衣服に手をかけ、下着ごと引きずり下ろした。
下着に引っ掛かっていたペニスは完全に解放されると、ブルンと上を向く。
反り返ったそれを改めてみて、木田は興奮よりも安心を感じた。室井はちゃんとこの行為を喜んでくれている。
木田はまた室井に口づけながら、手は室井のペニスを握った。
パンパンに膨れた亀頭からカリ首の辺りを包んで扱いたり、裏筋を軽く引っかいたりして、室井の吐息が熱く湿っていくのを感じた。
段々動きが鈍くなっていく室井の舌を絡め取り、唇の裏も頬の裏側も蹂躙していく。苦しそうにくぐもった室井の声を聞いても、止まらなかった。
室井の両手が肩にかけられ、室井と一緒になって木田の身体が起こされる。
室井の表情はだいぶ蕩けていた。息を上がらせながら切なげな表情で見つめられて、木田のペニスは素直にドクンと反応する。
室井の見たこともない仕種や表情がどんどん現れる。心の隅では興奮だけでなくその感動も感じていた。
今度は室井の手が木田の下着に掛かった。脱がせやすいように少し腰を浮かせると、木田もたちまち全裸にされる。
室井は木田の足の間に陣取り、自分の顔の前にある木田のペニスを見つめて指を絡めた。竿全体を扱きながら片方の手は玉を包み込んで遠慮がちに揉んでいる。
木田はこの後のことを察知して、仰向けに寝そべっていた上体を起こした。
室井は一瞬木田と目配せのように視線を送ると、恐る恐るといったように亀頭の先を舌でチョンと舐めた。
そこから腹を決めたのか、まず唇だけで啄むように亀頭を少しずつ咥え、唾液で濡らしていく。
一度口を離すと、今度は口を広げ、一番膨らんだ部分は吸いこむようにして、亀頭をすっぽり口の中にしまい込んだ。
「あ……」
裏筋を舌で刺激しながら、手の方は引き続き竿を扱いてくる。木田は思わず声を漏らし、またゆっくりと寝そべった。
男としてツボは分かっているんだけど、経験不足は否めないような、でもそんなぎこちなさすら愛おしくて、つっかえつっかえのフェラチオを楽しみながら室井の髪の毛に指を通し撫でていた。
室井が口を離したところで木田はもう一度起き上がった。
起き上がってはみたものの、頭の隅にずっとあった懸念がまたここで沸き起こってきた。
さぁこの先どうするか。
繰り返せば自分としては抱きたいし、体位的にも今までは自分の方がリード気味ではあった。
しかし今ここでひっくり返されたり、はたまた嫌がられたりしたら、下手すれば立ち直れなくなる可能性だって出てくる。
玉谷に持たされたローションもまた思い起こされて、何をどうしてどうしようかと木田がグルグル思いを巡らせていると、室井が体勢を変えて仰向けに寝転がった。
「っ、健嗣……」
木田はその行動の意味をすぐに察知したが、この期に及んでも自分の都合のいいように解釈しているだけではないかという迷いもあった。
しかし、室井は躊躇いがちに頷いて「いいよ」と呟いた。
木田は胸を通り越して、目頭まで熱くなりかけた。
咄嗟に室井を抱きしめて「ありがとう」と呟いてしまう。室井の手が木田の頭をポンポンと撫でた。
あぁ、この男は自分に比べ、なんと懐が広いのか。
木田はベッドの脇に手を伸ばして、ボストンバッグからローションを取り出した。
暗い中で見ても、それは透明ではなく少し白く濁っていることが分かる。
ベッドになるべく零さないように気を遣って手の平に取り、少し冷たいそれを手の平ごと木田の尻に押し当てた。
室井は目は薄く開けているものの、口は固く結ばれている。
木田は女でも試したことのないアナルに、そろそろとローションを塗りたくった。
自分の指にも尻の周りに残ったローションを絡ませ、頭を下げて室井の股間を覗きこむ。
触った感触ですぼまっているところも分かるは分かるが、仰向けだとよく見えにくい。足を広げてくれるか、あるいは……
「こっちの方が、いいかな?」
室井は木田の意図を汲んだらしく、起き上がると自分から四つん這いになった。
あの室井を全裸で四つん這いなんてはしたない格好にさせていることに、木田は背徳感を感じずにはいられなかったが、支配感はそれに勝った。
木田は頷いて、今度はよく見えるようになったアナルに、指を押し当てる。力を加えると、指はゆっくりと穴の中に飲みこまれていった。
「ぅ……」
室井の呻き声が小さくあがる。
「大丈夫?」
木田の問いに室井は振り返って頷いた。四肢をベッドにつけたままこちらを振り返る姿もまた、ひどく扇情的であった。
木田はとりあえず女にするように、指を曲げて内壁をいじってみたり、指を出し入れしてみた。
ローションのぬめりはあるものの、そこはそんなに湿ってないし、指一本はスムーズに入ったものの決して緩くはない。
こんなところに入るのか、などとウブな疑問を抱きつつ、なるべくほぐすことを意識して指で掻き回していった。
ふと気付いて、空いた手で室井のペニスを掴む。完全な勃起では無くなったが、まだ硬いそれを緩くマッサージすると、少しアナルも柔らかくなった気がした。
室井はこの間、深く、長い呼吸を続けている。
無理をさせていないか、そのことも強く気になりはするが、木田は2本目の指を入れた。
「あっ!」
室井の高い声があがる。
アナルの皺が伸びて入れた指の幅通りに広がっている。指の感覚としては結構ギッチリと詰まっていた。
少し痛ましい気持ちにもなって、木田はすぐに指を動かさずにペニスへの愛撫を続けた。
強張っていた室井の背中が少しやわらいだように見えたので、ゆっくりと指を出し入れする動きを続ける。
しかしこんなところに自分のそれを入れたら、どれだけ締めつけられるのだろう。
想像しながらそこをほぐしていると、ひどく野蛮な獣になっている気分だった。小さく芽生えた罪悪感すら欲望は取り込んで、更に強大になっていく。
しかし気付くと、握っていた室井のペニスがどうも勢いを取り戻している。呼吸もまたいやらしく乱れ始めていた。
木田が内壁を圧迫するように指を曲げると「んぅ……」と鼻にかかった声が上がる。
その声で木田の理性は飛んだ。指が窮屈さを感じなくなるまで卑猥な動きを繰り返し、拡張する目的でアナルをいじくり回した。
「あっ……あっ、…はぁっ、あっ……!」
少し乱暴な動きをしても、室井の悲鳴は既に染め上げられている。
最初は手をついていたのが今は肘まで崩れ落ちているし、頭もグッタリとベッドに付けられていた。
「ゆっ…ゆう……」
掠れた声で呼ばれた自分の名前が、木田の頭に反響した。
「健嗣……!」
指を抜いて、背中から室井の身体を強く抱きしめる。ペニスはトロトロにぬめった臀部に当てられていた。
「入れていい……?」
木田の問いに、室井は数秒置いて、蚊の鳴くような声で「うん」と答えた。
木田は自分のペニスにもローションを塗りたくり、室井のアナルにもう一度指を一本入れて、その指伝いに注ぎ込むようにしてローションをたっぷりと垂らした。
自分のペニスを、先ほど指でしたようにアナルの入り口にあてがう。
アナルは何も入れてなくともその入り口は元通り閉まるのではなく、押し当てたペニスの先が少し引き込まれた。
木田は室井の腰を引き寄せて、ペニスをゆっくりアナルの中に押し込んだ。
「あー……!」
室井の悲鳴はか細く、しかし高い声であがり、それは決して快楽に呑まれた悲鳴ではないことが木田にも感じ取れた。
「大丈夫……?」
まだ亀頭も入りきらないまま、木田は一度動きを止めた。
室井の身体はきつく強張っていたし、シーツをギュッと握りしめていた。しかし室井は頭を俯かせたままでも、激しく横に首を振った。
木田はまた室井のペニスを扱きながら、更にペニスを押しこんでいく。
「くっ…ぅぅっ……!」
押し殺された室井の悲鳴。
木田もまた、カリ首の手前、一番膨らんだところを飲みこませて、そのきつい締めつけに歯を食いしばった。
そしてひと押し。亀頭はズッポリとアナルの中に飲みこまれた。
お互いかなり息が上がっている。
木田はそこから少し動かないで、室井のペニスを扱いていた。さすがに今はへたりこんでいて、室井の苦しさを思わせているようで木田の罪悪感がまた頭をもたげた。
「休憩する?」
躊躇いがちに木田は聞くが、室井は意固地になったように首を振った。
「いい……そのまま、進めろよ……」
息も絶え絶えな室井を見て木田はまだ少し戸惑いがあったが、言われたとおり腰を進めていった。
「うぅっ……」
亀頭の後はやはり少しスムーズに入っていく。それでもそのあまりの狭さに、めり込んでいくようにペニスは奥へと進んだ。
「……はー……」
根元まで入って、木田は既に目眩がしてきた。
こんなにきついものだとは思わなかった。正しい場所より狭いところなんて、反則じゃないのか。
「……動いていい?」
呼吸を落ち着かせて室井に問う。室井の頭はカクンと落ちるように頷いた。
ズルズルと奥まで入れたペニスを引き抜いていく。
「あー……」
室井の背中が反り、アナルの中がきゅうっと締まる。思わず木田の声も「うぅっ……」と漏れた。
竿が出たところでまた奥に、ゆっくり入っていく。
それをゆっくりと、少しずつ滑らかに動くようになるまで、何度も繰り返していった。
ある程度抜き差しが楽になってくると、木田は腰の動きを速めていった。
「はっ…あっ、あっうぁっ、あっ!……」
室井の掠れた悲鳴がとめどなく響く。
悲痛な様子を見て取り戻されていた木田の理性は再びほとんど飛んでいた。
室井の腰を掴んで揺さぶり、ペニスをアナルの奥まで打ちつけていく。
室井の悲鳴が大きくなっても、それは麻薬のように木田の頭を痺れさせた。
顔が見たい、そう思ってペニスをアナルから引き抜いた。
亀頭が抜けるときに、射精しそうになるほどの刺激を感じたがどうにか堪え、室井の身体をひっくり返してベッドに寝かせる。
室井の瞳は涙がたっぷり溜まって、外からのわずかな明るさでも煌めいていた。
口は力なく開き、内側のいやらしく光る粘膜を木田に見せている。
木田は室井の両の腿を掴み、アナルが見えるように足を開かせた。
室井は抵抗こそしなかったが、顔を背けて目を閉じてしまう。
しかし木田が片手を離しても、室井はそのままの体勢を自分で維持した。
木田は自分のペニスをもう一度室井のアナルに押しこんでいく。
「あぁ……」
室井の声は、再び艶やかな色を帯びる。
初めよりスムーズに入ったペニスで木田はまたピストン運動を繰り返した。
目の前には足を大きく開いて、木田の動きに合わせて声をあげる室井がいる。
もっと見たい。自分の知らない室井健嗣を、絶頂に身を震わせる姿を。
それに自分も、そろそろ限界だ。
「健嗣っ……」
本能に任せて腰を打ちつけ、狭い腸壁を何度も穿った。
「ひっ……!あっ、ゆ、悠っ!あっ、ああっ!!」
「っん……!」
木田が射精する直前、視界より下から飛び散ってくるものがあるのを見た。
中に精液を注ぎながら、室井のことを抱きしめた。2人の腹の間で室井の残滓が温かく溢れていくのを感じていた。
おおかた室井の中に注ぎ終わり、木田は薄く目を開いた。
こちらを見つめてくる室井も果てた直後という表情をしている。
室井の方から腕を背中にまわし、頭を少し起こしてくる。促されるままに木田は室井と口づけを交わした。
何かを確認しあうように数回チュ、チュと唇を合わせてゆっくりと離れていく。
少しの間2人は視線を合わせていたが、室井の表情がフフッという笑い声とともに崩れた。
「ははは」
口を開けて笑いながら室井は再びベッドに寝転がる。
木田はその反応に面食らったが、室井が少し茶目っ気のある笑みを浮かべながらこちらの顔を覗いてきたのを見て安心し、自分も隣に寝そべった。
腰より下の方、シーツはところどころ濡れている。
2人でしばらく気だるさに身を任せていた。
室井は満足しただろうか、どうして上を譲ってくれたのだろうか、木田の頭にぼんやりと疑問は浮かんでいたが、それを口にはせず、瞼を閉じたりゆっくり開いたりする室井の横顔を眺めていた。
そうしていると室井がおもむろに起き上がり「喉が渇いたな」と起き上がる。
「ギダユーはビール飲む?」
「飲む」
2人でノロノロと後始末をしながら、パンツだけ履いてダイニングに向かった。喉を鳴らして缶ビールを呑みながら、まだ呆け気味でいる。
「健嗣」
「うん」
「改めてだけど、よろしく」
「あぁ。よろしく、ギダユー」
既に飲みかけのビールをコツンと合わせた。それから2人でシャワーを浴び、シーツだけ洗濯にかけて、2人は酒を飲みに出かけた。
次の朝、寝坊してきた2人を玉谷は叱咤しながらも、車の中で眠たそうな2人の様子を満足気に眺めていた。
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