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2回目(1)
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浅野と付き合い始めて、2週間が経った。
「篠原ん家行ってみたいんだけど」
休憩中の社食で、向かい合って昼飯を食べていたら浅野がそんな事を言い出した。
「えーー…」
「何、嫌がってんだよ」
「だって、俺ん家狭いし、お前の家と比べられるの嫌だ」
あんなにオシャレで広い部屋に住んでる浅野に、お世辞にも、広いとも、オシャレとも言えない、ごく一般的な1LDKの部屋に招くのは、なんか恥ずかしいじゃないか。
「どうせ、くっついてんだから部屋の広さなんて関係ないだろ」
「またそう言う事…」
実は、あの一週間の居候生活が終わった後、恋人らしい事はしていない。
だから、浅野の言葉に、期待してしまう。
そろそろ、くっついたり‘イロイロ,したいなー何て…
「週末、行くから」
ドキリと、心臓が大きく弾んだ。
その言葉から、浅野も多分、そう思ってくれてるんだろうなと思うと嬉しい。
「風呂狭いし、ベッドもシングルだけど、文句言うなよ」
「大歓迎」
浅野はそう言うと、満足そうに唐揚げを頬張った。
週末が、今から待ち遠しくて、仕方が無い、というのは浅野には秘密だ。
金曜日。
「あ、浅野と篠原も飲み行かねぇ?」
二人同時に誘われた飲みの誘いを…
「パス」「パス」
二人同時に速攻で断った。
「何だ、お前ら付き合い悪りぃな」
そうボヤく同僚に、「悪い、また今度な」と苦笑しながら返して、会社を出た。
一緒に電車に揺られて、観たかったアクション物のDVDをレンタルした後、夕飯の買い出しをした。
3分ぐらい歩いて、俺が住むマンションの2階。
「ど、どうぞ」
「へぇ、結構綺麗にしてんだな」
「そりゃあまぁ…」
綺麗にしたからな。彼氏が初めて部屋に泊まりに来るのに、掃除をしない訳が無い。
挙句の果てに、3日前から夕飯何作ろうかな?とか考えたり…俺って結構尽くすタイプなんだなと、気付いて何だがくすぐったくなる。
「あ、あんまりあちこち見んなよ。飯出来るまでテレビでも見て待ってろ」
「了解」
浅野はジャケットを脱いで、ネクタイを外すとソファーに腰掛けた。
俺も、隣の部屋でTシャツとスウェットパンツの部屋着に着替えて、腕捲りをすると、キッチンに立つ。
「よし」
今日のメニューは、悩んだ末に浅野のリクエストのカレーになった。
トントントン、とリズム良く、ジャガイモ、ニンジン、玉ねぎを刻んで行く。
「ぐす…ぐすっ」
あー涙出て来た…
Tシャツの袖で涙を拭っていると
「わっ!…ちょ、危ないだろ⁉︎なにすんだよ」
浅野が突然俺の背後から抱きついて来て、思わず包丁を落としそうになった。
「泣き顔見に来た」
楽しそうに笑いながら俺の顔を覗いて来る浅野に呆れながらも、この絵に描いたような、‘ラブラブカップルよろしく,な状況に、胸の奥が騒わぎ出す。
「ぐすっ…悪趣味だぞ」
浅野の指先が目尻に溜まる涙を拭う。
「はは、目真っ赤」
「もう、いいから座って待ってろよ」
もっと触って欲しくなる。料理どころじゃなくなるじゃないか。
「はいはい」
浅野はそう言って、ソファーではなく、キッチンの椅子に座って俺の後ろ姿を観察する様に見つめた。
「何か足りないと思ったらエプロンか」
「は?」
「今度ヒラヒラのエプロンプレゼントしてやるよ」
「それな、もうその発想は、完璧オヤジだと思うぞ」
「何を言う。裸エプロンは男のロマンだ」
ニヤリと笑いながらそう言う浅野に
「絶対着ません」
そう棒読みで丁重にお断りをして、鍋に野菜を放り込んだ。
頭の中で、裸エプロンの俺が、浅野と乳繰り合っている姿をうっかり想像してしまった事も、浅野には秘密だ。
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