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悩み襲来(1)
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突然ですが俺は今、悩んでいます。
浅野と付き合い始めて二ヶ月。週末どちらかの家に泊まるのが、俺たちのいつものパターンになっている。
それが、今週末はどうやらその予定が俺の諸事情で、キャンセルになりそうなのだ。
その諸事情って言うのが厄介で…
「はぁ…」
俺の妹の千尋が、東京に遊びに来るらしいのだ。
妹は某男性アイドルグループのファンで、コンサートを観に行くから、家に泊めてくれと、電話があった。
ホテルにでも泊まれば?と言ったら、ホテル代が浮いた分グッズ代に回したい、とかなんとか言われて半ば強引に泊める事になってしまった。
まぁ、そうなってしまったものは仕方が無いとして、俺が悩んでいるのは…
「はぁ…」
「おい。篠原、溜め息五回目」
トイレでようを済ませ、手を洗っていると、隣りで同じく手を洗っていた浅野にそう指摘された。
「あ…悪い。ていうか、人のため息の数なんて数えるなよ」
「お前の幸せがこれ以上逃げない様に、言ってやったのに」
「それ、迷信な」
「迷信かどうか試してみるか?」
「え…?」
そう俺が首を傾げると、浅野は口を開けて息を吸い込み、俺の頬を両手で掴んで唇を合わせた。
「んーーっ!」
フーっと、浅野の口から俺の口に息が流れ込んで来る。
唇がゆっくり離れて…
「はい。お前の溜め息口移しで戻してやったぞ。どうだ?幸せ戻って来たか?」
浅野はそう言って、ニカッと笑った。
「っ…お前、こんな所で!誰かに見られたらどうすんだよ」
「誰にも気付かれないだろ。お前がギャーギャー言わずに静かにしてたらな」
浅野はそう言って笑いながら俺に背を向け、トイレを後にした。
「ったく…」
相変わらず簡単に俺の頭の中をお花畑にしやがって。迷信じゃ無かったじゃないか…
って、浅野のせいで俺の悩みの話から、思いっきり脱線してしまった。
俺が悩んでいるのは…
浅野に何て言って週末の事を断ろうかと言う事なのだ。
普通に妹が来るからと言えばいいと思うだろう?それが出来たら、俺だってこんなに悩まない。
俺の事を知りたい盛りな浅野に、妹が来ると言って見ろ、絶対「会ってみたい」と、なるはずだ。
それに…
アイドル好きな面食いの妹がイケメンな浅野を見て、放っておくとは思えない。
子供の頃から俺と妹は何処と無く、好みが似ていた。
好きになる芸能人とか、好きなマンガのキャラクターとか、好きになる人とか…
高校生の時、俺が密かに恋心を抱いていた同級生と妹が付き合った時、自分の性を恨んだりもした。
でも、妹とは仲が悪い訳じゃない。子供の頃はよくお人形遊びに付き合わされて、一緒に遊んだりした可愛い妹だ。
だからこそ不安なんだ。妹がもし、浅野を好きになってしまったら…
「はぁ…あ、やべっ」
俺は慌てて自分の吐き出した溜め息を吸い込んだ。
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