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出張ラヴァーズ(6)
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「……」
‘充電,と称された抱擁に少しずつ心が満たされて、自分がそれだけ浅野に会いたかったんだという事に気付かされる。
何だか本当に浅野を充電してるみたいで…気が付けば俺は、腕だけじゃなく、浅野の膝の上に座り込んで腰に足を回していた。
「はは、コアラみたいだな」
浅野はそう言って笑いながらまるで子供をあやす様に、俺の背中をポンポンと撫でた。
「う…い…いつまで充電するつもりだよ」
「んー…今20%ぐらいだから、後40分ぐらい?」
「うぇ゛⁉︎その間ずっとこのままとか無理だからな」
別に浅野と抱き合うのはいいけど、心地良すぎて寝ちゃいそうだ。
「急速充電モードに切り替えたら早く終わるけど?」
浅野は少し体を離して俺の顔を真っ直ぐ見つめると、何か企んでいるのが丸分かりな顔で、ニコリと笑った。
「急速充電って…んっ」
俺が言い終わるのを待たずして、どうやら急速充電モードとやらが発動されたらしく、俺の唇と浅野の唇が繋がれた。
「…っ…ふ」
約二週間ぶりの柔らかな唇の感触にゾクゾクと、体が熱を帯びて来る。
-ちゅっ…ちゅっ-
唇を軽く啄むリップ音が次第に
-ピチャ…チュプ-
と、水音を含んだ音に変わる。
絡まる互いの舌を愛撫しながら、キスを繰り返す、その心地良さに体が溶けてしまうんじゃないかと、不安さえ感じてしまう。
気持ちいい…もっと…
そう長いキスを求める俺の気持ちを裏切り、浅野の唇はあっさりと離れて…
「…あ…っ」
心地良いキスの余韻を残したまま、ぼんやりと瞳を開けた瞬間、浅野にじっと見つめられていた事に気付き、慌てて、浅野の肩に顔を埋めた。
ヤバい。俺今、凄い顔してたかも…
「こ…これで満足かよ」
照れ隠しにそう言うと、浅野が小さく笑った。
「まさかーまだ40%だぞ。後は、隣の部屋でゆっくり充電したいんだけど…」
へぇ…今のキス20%だったんだな。
って、そうじゃなくて!
「まだ風呂入って無いから…」
「風呂なんていい。篠原の匂い、落ち着くし」
浅野はそう言いながら、俺の首筋にグリグリと顔を押し付けスンスンと、鼻から息を吸い込んだ。
「嗅ぐな嗅ぐな!変態!って、ちょっ…オイ!」
浅野は突然、俺を抱えたまま立ち上がると、隣の部屋に歩いて行き、そのままベッドの上に、なだれ込んだ。
「っ…!」
「焦らすなよ…俺が何の為に一日早く帰って来て、その足でお前に会いに来たのか、分かってるくせに」
そう言いながら浅野は「限界だ」と言わんばかりに、少しだけ赤くなった顔で、真っ直ぐに俺を見下ろした。
何だこのデカイくせに可愛い生物は。
あぁ…あれだ。久しぶりに会った飼い主に全力でのし掛かってじゃれつくゴールデンレトリバーだな。
ご主人様の帰りを待っていたワン公は、自分の方だと思っていたら、実は浅野の方がワン公だったのか。
ヤバい。耳と尻尾が見えて来た。
「あーもうっ!」
観念した俺は、浅野の首に腕を回して、その頭を引き寄せ、掻き抱いた。
ワシャワシャとその頭を撫でると、浅野はそんな俺の行動に笑いながら、俺の体を抱き返した。
「会いたかった」
耳元で囁かれる。
そのストレートな言葉が嬉しくて、くすぐったくて、その言葉に応える様に更に強く抱き締める。
「なぁ、会いたかったの俺だけか?」
無言で照れたままの俺に、浅野は言葉を催促する様に、そう問いかけた。
「っ…俺だって!会いたかったし…」
「会いたかったし?」
「触られたかった…っ」
絞り出す様にそう言うと、浅野の手のひらが優しく俺の体を撫でる。
「こうやって?」
シャツの裾から入り込んで来た浅野の手のひらに直に触れられる感触に、ゾクゾクと快感が走る。
「う…んっ」
浅野の手…こんなに大きくて、暖かかったっけ?
離れていた分、いつもより一つ一つの触れ合いを敏感に感じてしまう。
「ゆう…すけ…っ」
堪えきれずに、名前を呼ぶと浅野はふわりと微笑んで、深く口付けた。
瞳を閉じて甘い甘い口付けに酔う…
「ん…ぅっ」
首筋に、指先が触れて、シュル…と、ネクタイが解かれる音が聞こえた。
それから…一つずつボタンが外される音。激しいキスとは裏腹、大事に大事に、それはまるで、ラッピングを解く様なもどかしさで…
早く、素肌を合わせたくて、口付けを繰り返しながら、俺も手探りで浅野のネクタイを解き、ボタンを外した。
唇が離れて、見つめ合って…
「…溢れるくらい、充電してやる…っ」
俺がそう言うと、
「まぁ…ナカに注ぎ込むのは俺の方だけどな」
浅野は俺をからかう様に笑って、全身で、俺の体を抱き締めた。
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