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生活
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あまり気は進まないけれど、用意してくれて食べないというのも失礼なので1口、口に運んだ
「今日はちょっと調子悪いよね」
野菜を一つ食べて息をつけばそう言われた
自分では、分からない。
そもそも今日は元気。とかそういう日も無い
特に反応はしないで、2口目を食べる
けれど、あまり喉を通らなくて無駄によく噛んでしまう
しばらくしてから、飲み込んだ。
3口目を食べるのは何となく億劫で、フォークを止めて意味もなく鈴を見てみた
鈴は、焼き魚を食べていた。
魚なんて食べたのは数えるほどしかないと思う。それも、コンビニのもの
けど、普通に美味しかったと思う
鈴は焼き魚が好きなのかもしれない
「鮭だよ。食べてみたい?」
俺が見ていることに気づいたのか、楽しそうに笑ってそう聞いてきた
「…いや、いい」
断れば、えー。美味しいのに。と拗ねたような声を出す
何と反応すればいいのか分からず、軽く頷いてから、またスープに視線だけを戻した
これを全部食べるのか。と思うと気が重い
別に嫌いとか、食べたくない訳ではなくて『昼食』というもの自体にまだ慣れていない
1人で生活していた時は、3食食べよう。とかそんなの全く気にしていなかった。
それどころか、寝る時間も起きる時間も、食べる時間も日替わりだった。
だから、鈴の整った生活は少し難しい
夜、全く眠れなかったり、昼に突然気絶するみたいに眠ってしまったり。
ご飯だって、鈴が食べる時間に全く食べれなくて朝の3時とかに食べていることだってあった
それでも、鈴は怒らない。
3時頃目が覚めて、鈴がいつも作ってくれるスープを飲もうとした
その日は昼も夜も食べれていなかったからスープも残っていた。
俺は暗くても全然見えるし、静かに鈴を起こさないようにベッドを降りてスープをよそおうとする
でも、視力が良くないから具材が床に落ちてしまったりする
「お腹すいた?」
いつの間にか起きてきた鈴が、欠伸をしながらも優しく笑って頭を撫でてくれる
「よそってあげるよー」
そう言ってスープを温めて綺麗によそうと、テーブルまで運んでくれた
俺はその後ろを黙ってフォークだけ持って付いていく
「食べてくれてよかったー」
そう言いながら、俺の食べる様子を見ている
食べ終わる頃には、鈴はこくこくとテーブルに肘をついて眠っていた
そんなに眠いのなら放っておけばいいのに、何故睡眠を妨げてまで食事を手伝ってくれるのだろう。
鈴はやっぱり不思議な人だと思った
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