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病院
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運ばれてきたのは、スープとサラダ、焼き魚とご飯だった。
…食べたら吐きそう。
体はまだ怠くて、食欲はなかった。
「…結!」
突然病室のドアが開いて、名前を呼ばれる
見れば、鈴がいた。
「…」
なんと言っていいか分からず、俯く
「…よかったぁ」
いつもみたいにはしゃぐ感じではなく、優しく抱きしめられた
「…ほんと良かった。辛かったね。大丈夫?」
『まだ怠い?』と、額に触れられる
鈴の手は振り払う気になれない
「…大丈夫。」
もう1度強く抱きしめられ、それが心地よく感じてしまった
「良かった。ほんとにほんとによかった。」
鈴は『何で家から出たの?』とかは聞かないでいてくれる
「今はお昼の時間?」
優しく笑ってそう聞かれた
それに頷くと、そっかぁ。いいねーって楽しそうに言う
「鈴食べる?」
「ううん。結が食べて?」
「…食べない」
「どうして?お腹すいてない?」
食べな。と押し付けてくるわけでもなく、俺の話を聞いてくれようとする鈴
「…吐く、気がする」
「具合悪い?」
「…分かんない」
「まぁ、目も覚めたばかりだしね。喉は渇いてない?水あるけどいる?」
差し出された水を受け取った
「…ありがと」
「どういたしましてー」
ペットボトルの水を一気に半分くらいまで飲んでしまう
「…買って返すから」
「え!いいよー。それ結の為に買ってきたんだし」
『喉乾いてたでしょ?』とにこにこしている鈴を見ると、やっぱり何で鈴は俺のこと分かるのかなって思う
「お昼ご飯は無理して食べることないよ。食べたい時に食べればいいの!
俺は仕事戻るね。なるべく早く切り上げてくるから」
食べたい時に食べればいい。
その言葉は鈴が俺にしてくれた事だった
夜中でもいい、朝方でもいい、1日中何も食べなくても怒らない。食べたくなった時に、食べていいよってしてくれる
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