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本当のこと
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「…結。」
名前を呼ばれただけなのに、体に力が入る
鈴が近づいてきて、着崩れた服を直された
「…冷たい」
そう言って、きつく抱きしめられた
いつもの、優しい鈴。
「怖かったね。ごめんね、遅くなって」
怖くなんてなかった。
慣れてる。
こんなの、慣れてる。
なのに、鈴じゃなきゃ嫌だって思った。
触られるのも、鈴以外は嫌だった。
そして今は、鈴に触れられてる
安心なのか、怖いのか、気が抜けただけなのか
分からないけど、涙が溢れた
「大丈夫。ごめんね、本当にごめん」
抱きしめてくれている手は、優しく頭を撫でたり背中を摩ってくれたりする
でも俺は、この優しさに甘えてはいけない。
鈴に、本当のことを言うんだ
「…慣れてる。…ほんとに、慣れてるの」
「…そっか」
「だから、…汚いし、鈴が思ってるような人じゃない」
「俺が、結のことどう思ってるか分かるの?」
「…分かんない、けど俺は…体でお金稼いでたくらいだし」
言っていて、胸が痛かった
自分の過去も、鈴にどう思われるかも
「結の事、知りたいと思うよ。
だからちゃんと、聞かせて?」
「…やだ」
自分から言い出したのに、もう言いたくない
「結の親の事も教えてほしい」
「……聞いてどうするの」
「結が辛い思いしてるなら助けてあげるし、…でも1番の理由は俺が結を知りたいから」
鈴に全てを知ってもらえたら楽かもしれない。けど、それで鈴が離れていってしまったら?
「…親、…」
聞かせるほどの情報もない。強いて言うなら生まれてすぐに売られたとかそれくらい
けど、それを鈴がどう受け取るかが怖い。
「…俺ってそんなに信用ない?」
もー。大丈夫だから。と頭を撫でられる
本当に大丈夫なの?言ったら離れていかない?
…俺、こんな事で悩むような人じゃなかったのに。
鈴を見あげれば優しく笑って、うん。と頷いてくれた
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