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変化
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「…まだ」
「まだ半分だよー?」
30分が経った頃、結は「もういい」と「まだ」の繰り返ししか言わなくなってしまって苦笑する
「あれとか見てたらー?」
点滴をしている人を飽きさせないために貼ったのか、天井には可愛い動物や綺麗な景色の写真がプリントして貼ってある
「…よく見えないし」
目を細めて、必死に見ようとする姿が可愛い
「じゃあこっちはー?」
天井ではなく、壁に貼ってあるポスター。
これなら近いから見えるかもしれない。
そこには、病気関連のポスターが並ぶ中、なぞなぞやイラストも少しだけだが貼られていた
「…あの人が書いたの?」
あの人。と言うのはさっき点滴を刺してくれた医師のことを指しているのだろう
たしかに、手描き感が凄い。
「そうなの、かなぁ?」
「…鈴も描ける?」
「絵?」
「そう」
「上手くはないと思うけど、かけないことはないよ!」
病院にいた頃、小児科に行ってはよく絵を描いたり描いてもらったりして遊んでいた
「描いてほしーの?」
可愛くて、つい意地悪な聞き方になってしまう
「…別に」
「え、描いてほしいって言ってよー!」
「どっちでもいい」
「…えー?じゃあ描かないよー?」
さして絵が上手いわけでもないのに、「描いて」と言ってほしいばかりに自分でハードルを上げてしまっている
「どっちでもいいって」
「ほんとにいいのー?」
こんな聞き方をして、何がしたいのかと自分でも思う。
これで上手ければ話は別だが、実際そう言う訳でもない。本当に可もなく負荷もなくくらいだ。
「…じゃあ、見たい」
「わ、ほんと?」
「…描いてくれるの?」
ちら。と一瞬だけこちらを見た瞳が可愛い
「うん、描く!頑張るー!」
結が見たいと言ってくれるなら頑張って描くしかない。
自然と緩んでしまう頬に手を当てて「何を描こうかなー」なんて呑気に考えた
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