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食事
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「っ…や、めて!」
寝室から何かがぶつかるような音と、叫び声が聞こえた
寝室の扉を開けば、飾り程度に置いていた小さな目覚まし時計が足元に転がっていて、結は耳をふさいで蹲っていた
「…どうした?怖い夢見た?」
近づけば、枕が飛んできた
「大丈夫。怖くないよ」
近くにあるいろいろなものを投げられるが、それは全く気にならなかった
そんなものより、結の苦しそうな表情の方がよっぽど痛い
「どうしたの?大丈夫だよ」
怖がる結に近づく。
まだ意識がはっきりしないようで、焦点はどこにも合っていない
「深呼吸して。苦しいでしょ」
マラソンを走ったあとの様に上がっている呼吸。
近づいて抱きしめたいのに、近づく度にものを投げるか後ずさりをするか。
「…ごめ、…俺が、悪かったからっ」
声が震えている。
「結。」
「っ、やだ…!」
「ゆーい。大丈夫だから」
手を掴んで目を合わせる
「…っ」
抱きしめて、背中をぽんぽんとあやすように撫でれば、びくっと肩が跳ねた
「痛くない、怖くない」
少しそう繰り返していれば、腕の中で体が弱く押し返された
「…りん」
「うん。鈴だよ」
「…鈴は、痛くない」
自分に言い聞かすような、無意識のような、小さな小さな呟き
すると、かくん。と力尽きたかのようにもう一度眠ってしまった。
ベッドに寝かせてもいいけれど、「鈴は痛くない」そう言ってくれたのは多少なりとも俺を受け入れてくれたからこその言葉だと思った。
だとしたら、眠っている間は傍で見守っていてあげたくて、ベッドに寝かせることはせず、抱きしめたまま背中を擦っていた
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