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鈴がくれるもの
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「…鈴は、今までに付き合っていた人がいるでしょ」
目は見れなかった。
ただ、一言一言言葉を口にする度に自分が嫌いになっていく
「そうだね」
責めるでもない、優しい返事
なんでこんなこと聞かれて怒らないでいてくれるんだろう
「…その人たちとは、会ったりするの」
「んー?どういうこと?」
聞き返されたことに心臓が跳ねた
やっぱりこの話は終わりにして黙り込みたい。
自分が嫌だ。こんな臆病な自分が嫌だ。
けれど聞くなら、もう今しかないと言い聞かせる
「別れてから…いや、別れてるか知らないけど」
そうだ。別に鈴は俺が好きだと言ってくれただけで、誰か他の人と付き合っている可能性だってある
何を聞きたかったのかも忘れてしまいそうなくらい焦りが大きくなっていく
「別れてるよ」
焦る俺とは裏腹に、鈴は落ち着いていた
小さく深呼吸をしていると、頭の上に手が置かれた
それは俺の頭を撫でて離れていく
まるで「大丈夫」と言われているようだった
「その人たちとは…もう、会わないの…?」
聞いてしまった。
緊張で手が小さく震える
「…そうだね。
別れると同時に連絡をとらなくなった子もいるし、それでも、友達として連絡とってる子もいるよ」
人によるってこと?
「……俺、だったら…?」
気づいたら口に出ていた
思わず口を手で抑えたくなるけれど、あまり動揺していると思われるのも嫌なのでじっとこらえる
少しの間だったかもしれないけれど、その少しの間が今だけはとてつもなく長く感じた
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