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鈴がくれるもの
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「…俺ね、結のこと本当に好きなんだ
朝起きて隣にいるだけですごく嬉しくなるし、睡眠とかご飯摂れてないと心底不安になるし、…結には少しも辛い思いをさせたくない。
ずっとずーっと傍にいてほしいって思うんだよ」
…なにそれ。なにそれ。
そんなこと言われたら流石に恥ずかしい
先程買ったばかりの白い額を握りしめた
鈴はなんでそんなに俺のこと、想ってくれるの?
さして性格がいい訳でもないし、ましてやこうして外出するのも頻繁にはできない
俺といたってつまらないと思う
「初めてなんだ。こんなに人のこと好きになったの
だからもし、結が恋人になってくれて、更にもし、別れるようなことがあっても俺は結のこと離せないな」
嬉しい。素直に嬉しいと思う。
ずっと傍にいてくれるというのは、口先だけの言葉だったとしても嬉しかった
けど、俺にそんな価値はないと思い直す
鈴と俺ではあまりに釣り合わない。
体を売って、お金を稼いで。
家事もできない、会話も上手くない、外出も嫌い、食事も睡眠も嫌。
鈴と俺は、違う。
少し考えてから鈴を見上げる
目があって、ドキッとした
いつも部屋で名前を呼んでくっついてくる雰囲気とは違う
じっと見つめられて、それから優しく微笑まれる
「…俺のこと、そんなに好き…?」
「好きだよ」
「…そんな、っ…う、うるさ」
なんで俺もこんなに焦ってんの。
笑って流されると思っていただけに、その響きに顔が熱くなるのがわかった
『好き』そんな言葉を聞いても今までなんとも思わなかったのに。
「かわいい」
「…俺だって、初めてで、っ…」
こんなに気持ちが動揺するのは初めてだ
それってつまり俺、鈴のこと…
「ん?」
「な、なんでもない!」
もう、こっち見ないで。
「運転して」
これ以上見られていたら変なことを口走ってしまいそうだった
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