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「恥ずかし?」
「っ、ちが」
「いいよ。慣れたら行こうね」
違うと否定しようとしたのに、鈴は穏やかに笑って頭を撫でてきた
「羊は後にして餌もらいに行こうか」
羊に人が集まっているのは多分餌をあげられるからだ
近くにいた飼育員さんに鈴が話しかけると「どうぞ。優しくあげてね」と鈴ではなく俺に羊の餌をくれた
それをじっと見る
それは草のようなものだった
「こっちの方からもあげられるかな?」
あまり人が集まっていない方に行く
餌を持っていたからか、羊が2匹程近づいてきて草を欲しがるように手元をつんつんと刺激してくる
「…っ」
羊に草をあげると想像以上に距離が近く、反射的に手を離してしまう
地面に落ちた草を羊がもぐもぐと食べた
「落としたら可哀想だよ
ちゃんと持っててあげないと!」
噛まれないから大丈夫。と言われ今度はちゃんと草をもって羊にあげた
「上手上手!」
「…食べた」
かわいい。
鈴の言っていた通り確かにふわふわしていて白い
「鈴もあげて」
かわいいから。
残りの草を渡すと受け取ってくれた
「ふふ、可愛いね」
もぐもぐと草を頬張る羊をみて笑う鈴は綺麗だなと思う
「ねぇ、覚えてる?」
鈴を見ていると突然背中を叩かれ、振り向いた
「ほら、前にホテルで。」
「…ホテル」
「ね、まだそーゆうのやってんの」
そーいうのっていうのはつまり、体で稼いでるのかって事だろう
別に辞めると決めたわけじゃないけど、あまりやりたいと思わない
それに、鈴のそばでそういう話をしないでほしい
「今やめて」
ふい。と顔を背ければ思い切り肩を引っ張られ、しりもちをついてしまう
「っ、もう…何」
しゃがんでいたからそんなに痛かったわけではないけれどその衝撃が頭に響いて気持ち悪くなる
「無視すんじゃねーよ。何万貢いだと思ってんの」
「俺は額提示したこと無いでしょ」
『どのくらい』って聞くだけで相手が勝手に値段を決めていた
いちいち顔なんて覚えてないしそれで怒られるのも納得いかない
鈴の事が関係していなければ淡々とした言葉が次々と出てくるのだから不思議だと思う
気持ちも全く動かずに、すらすらと言葉が出ていくのは昔に戻ったような気分になる
「なに、やりたいの」
立ち上がるのもめんどくさくて地面に座ったまま相手を軽く睨んだ
「…今夜、どう?」
周りには聞こえないように耳打ちをしてきた
そんな配慮もただの苛つきにしかならない
鈴を盗み見れば聞いているのかいないのか、背中しか見えなくてよく分からない
「怖気づいちゃった?」
「…」
「なぁ、どーなの」
こんなやつに俺は怖気づいてなんかいない。
「…うるさい」
「怖くなっちゃった?」
バカにすんな。
「やればいいんでしょ」
半ばやけくそのように小声で言い返せば気持ち悪く笑って去っていった
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