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思い
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涙が止まって冷静になってくると俺は何を口走ったんだと後悔した
鈴の胸から顔を離せばシャツが涙で濡れている
「目、真っ赤になっちゃった」
そう言いながら最後の一滴を指で拭われた
「泣くと手あっつくなるんだね」
「…知らない」
「結」
「…なに」
「何処がいけなかったか分かった?」
手をにぎにぎと握りながら聞いてくる
「ホテルでのこと、怖かったよね?」
その言葉に、こく。と頷く
「なのに、俺に相談もしないでひとりで出ていった
何されるのか分かってた。そして、それが怖いことっていうのも分かってたし、結は嫌だった」
目の前がまた涙で見えなくなってくる
「そこが、ダメだったところ。
怖い、痛い、嫌だって思ってるのにその気持ちを見て見ぬふりした」
それじゃあ、結が苦しくなるよね。と髪を優しく梳いてくる
それからひと呼吸置いて、目を合わせられた
「結は自分のこと汚いとか言うけど、そういう事で怒ってるんじゃないし、そんなこと思ってない。
そうじゃなくて、自分で自分を苦しめるようなことをするのがダメって俺は怒ってるの」
「……怖いの、したから…?」
「そう。 分かった?」
俯くと、また直ぐに抱き寄せられる
頭の中で今回のことを少しずつ整理していく
俺は頭の回転が早くないから、他の人からしたら何をそんなにスローモーションで考えているんだって思われてしまいそうだけど、それでも俺は俺なりに頑張って整理していく
それを鈴は急かすことなくゆっくり待っていてくれた
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