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思い
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少しずつ脳内が整理されていく。
鈴は俺が怖かったり、痛いと思うことをしたからダメだと言っていた
でもそれは俺が勝手に思ったり感じたりするとで、鈴にはそれが関係ないように思えてしまう
だから放っておいてという訳ではないけれど、俺がそういう思いをすることが鈴にとって何で怒ることになってしまうのかが分からない
そう思うと、鈴のことが増々分からなくなってくる
「よく分からない?」
俺の脳内が見えているのかと疑ってしまうくらいのタイミングでそう聞かれた
小さく頷けば、じゃあさ。って話始めた
「俺がたくさんの人に殴られちゃったとする」
「…ぇ」
「例え話。そんな顔しないで」
また、さっきみたいに優しく頭を撫でられた
「それで、俺はそのことを隠そうとする。でも、怪我してるからバレちゃうでしょ?」
「うん」
「でもそれは結には関係のないこと」
ズキッ。と胸が痛んだ
例え話だったとしても、鈴が怪我をしてしまって、それが関係ないと言われてしまうのは何というか…寂しい
関係ないと言われてしまえばそこまでだけど、それでも気になるし心配する気持ちになる
「それが、今回の話だと殴られたんじゃなくて、体を売った。そういうことだよね」
「……」
「それが結じゃなくて、俺だったらどう思う?」
「……何で、行くのって、思う」
俯きながら小さな声で答える
鈴はきっと、こういう気持ちだったんだ。
そう気づけば、何も考えずに軽い挑発にのって家を出たことや、怖いって思いながらホテルに入ったことがどれだけ自分勝手だったか分かる
鈴の気持ちになって考えるのは難しいけれど、もし鈴がその状況だったらと考えることはできた
鈴が、殴られてしまったら、嫌がってるのにそういうことをされてしまったら。
…嫌だ。
鈴にはあんな思いをして欲しくない。
そうされるって分かってて行ってほしくない。
「…今の結と俺は同じ気持ちだったんだよ。
いや、それ以上だな」
そう言って「少しは反省した?」と聞かれる
「……鈴は、汚くない。痛いのが、やだ…っ」
俺はそういう事をすると自分は汚いって、ずっとそう思ってきた。
けど、もし鈴がって考えたら汚いなんて思わなくて、ただ、痛い思いをしたんだってことが辛かった
「例え話だから。ね?そんな苦しそうな顔しないで」
顔を上げれば困ったみたいに笑ってて、その笑顔にもまた胸がぎゅっ。と苦しくなった
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