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気持ち
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「結が話あるって言ってたの、そういうこと?」
さっきとは違い落ちた声のトーンに心臓が跳ねる
俺が答えを出すのが遅すぎて鈴はもうとっくにその気はなくなってしまっていたかもしれない
で、でも、さっき離さないって言ってくれたし…
気持ちが分からなくて困惑する
「ほら、さっきもし付き合ったらーって言ってたからそういう話なのかなって」
「……うん」
「だったら、俺に言わせて」
「…え?」
「いいでしょ?
まだ保留だったらそれはそれでいいよ
けど、もう一回気持ち伝えさせてね」
すぅ。と小さく息を吸う音が聞こえる
その空気にさえ、次に発される言葉を予想すれば緊張してしまう
「結」
「…なに」
「もし、兄弟がいたら嬉しい?」
「…ぇ?」
予期していなかった言葉に変な声が出る
「お兄ちゃんがほしい?弟?妹?」
「…別に、誰でもいい」
突然の話題にいつも通り素っ気ない態度で答える
「弟だったら環ちゃんみたいな子がいいね」
「…環うるさいけど、意外とお兄ちゃんみたいなところある」
「じゃあ結が弟かぁ。いつも賑やかそうだね」
「賑やかなのは環だけ」
俺と環が兄弟だったらという想像をして、ぷっ。と笑ってしまう
「環朝とか機嫌悪そうだよ」
「どうだろ?割と起きた瞬間からハイテンションかもよ」
「あり得る」
俺と環がもし兄弟だったらもっと昔から知り合いだった訳で、そう思えば兄弟でも良かったなって思う
「俺兄弟いるんだよ」
「鈴1番お兄ちゃんでしょ」
「え!なんで分かるの!」
「当たり?」
「うん!」
やっぱり。
だって鈴は面倒見いいし、前にいて守ってくれる感じがお兄ちゃんって感じがする
「俺のひとつ下に弟いるんだけどね、俺と全然違うの!真面目でガリ勉。」
鈴に兄弟がいるというのは知っていたけれどこんなにしっかり聞くのは初めてだ
弟さんの更に下に妹もいるらしい。
「…鈴と似てる?」
「今はどうだろう?小さいときは似てるって言われたこともあるよ」
鈴の弟さん。
鈴と似ているなら、それはつまり綺麗な顔立ちをしているってことだ
「今度会ってみる?
でも人見知りだからな。結見たら絶対あたふたするよ」
そう言ってくすくすと面白そうに笑う
鈴の家族。
緊張するけれど、会っていいというのなら会ってみたい
いま隣にいる温かい人が育ったお家なんだからきっとそこも温かいんだろう。
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