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気持ち
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「ショーまでまだ時間あるね
何か乗り物乗ろうか!」
「何がいい?」
「んー、観覧車とか?今だったらまだ少し空明るいかもよ」
「それにする」
「うん!こっちだよ」
鈴はよくこういうところにくるのだろうか。
動物園に行ったときも動物のいる場所とかを知っていたし、今だってどこに何の乗り物があるかを知っていて連れて行ってくれる
「結とふたりでとかどきどきしちゃうなー」
いつも様にそう言って笑う
そんな鈴の横顔を見上げた。
俺もどきどきしてるよ。
そう心の中で返事をした
「いっぱい並んでる」
「ほんとだね。ずっと立ってるのくらくらしない?」
「多分大丈夫」
「少しでも辛くなったら言ってよ?」
「大丈夫だって」
そう言って最後尾に並んだのは10分前。
まだ順番は回ってこないのに既に地面が歪んで見える
少し前が開いて、隙間を詰めるように進もうとして躓く
あ、転ぶ。そう思って無意識に伸ばした手が鈴のカバンにあたった
「一回抜けようか」
「…いい、大丈夫」
こんなに長く並んで、乗れるまでもう少しなのにここで抜けるのはもったいない
それに、まだひとつも乗れていないのにここで休憩というのも情けない
「口開けてー?」
俺の前にしゃがんで、頭を撫でながらそう言われた
言われた通り少し口を開ける
鈴の手には水筒が持たれていて、冷たいものが口の中入ってきた
「結の用意してくれた麦茶。冷たくて美味しいでしょ」
すーっと頭に浸透してくる感覚
冷たくて気持ちよかった。
ゆらゆらしていた視界が少し収まって、まだ立っていられそうだ
「あと少しで乗れるよ」
そう言って、俺の大好きな笑顔を向けてくれた
それからしばらく鈴に寄りかかるようにして順番を待った
ぼーっと鈴の手を見たりカバンを見たりする
定期的に頭や背中を撫でてくれる手が気持ちいい
『大丈夫かな?』
「…っわ」
突然、目の前に知らない人が現れた
「乗るときの注意点説明するから聞いててーだって」
「…あ、注意。うん」
『アルビノかな?可愛いね』
さっき目の前にしゃがんだ人はきっとここの係員のような人だ
アルビノであることを指摘されて鈴のカバンに顔を隠す
すると後頭部を撫でられて、この大きな手は鈴の手だと直ぐに分かった
顔を少し出して説明を聞く。
危ないから立って騒いじゃいけない。とかそういうことを丁寧に説明された
そしてやっと回ってきた順番。
どうしよう、どきどきする
係員さんと目が合って、にこっ。と微笑まれた
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