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決めたこと
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「…俺、鈴と会えて良かった」
今言わないと、もう言える機会なんてやってこないと思った
「俺はただ呼吸をしているだけで、それが誰かの為になるわけでも、自分の為になるわけでもなかった
生きてるからって良い事があるわけでもないし、何かを持っているわけでもなかった」
街を見ながら話していたら不意に居酒屋でお酒を飲んでいた人と目が合って咄嗟に目をそらした
「…皆、その時だけだった
何かを期待するのはだめだし、したとしても、それに答えてくれる人なんていなかった」
ずっとひとりで話してしまっているけれど、鈴は飽きることなく相槌をうって話を聞いてくれている
「ずっと思ってた。
相手のことはどうでもいいんだって。相手が痛がっても、嫌がっても、自分が良ければそれでいい。人が困ってても自分が困っていなければそれでいい
人はそう言う生き物なんだって
俺が嫌だって言っても何も変わらなかったし痛いといったところで終わらなかった
もう、諦めてた。それでいいんだって」
それが人なんだからしょうがない。そういう生き物なんだって。
「結、それは違う」
「で、でも…!」
鈴の声に自分の声を重ねてしまう
「でも、鈴は違った。
俺も変われた
他人は他人って割り切らない鈴が不思議だった
放っておけばいいのにいつもそばにいてくれて、そしてたくさん優しくしてくれた
…俺はさ、いつの間にか鈴のこと好きになってた
そして俺もその時初めて思った。鈴の為に変わりたい、役に立ちたいって」
もう、俺にこの場所は必要ない。
もう、来なくていい。
「だから、俺はもうここに来ない。」
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