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鈴のために
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「おはよー」
眠そうに目を擦った鈴が起きてくる
そのまま俺をぎゅっと抱きしめてくれた
「何かいい匂いする…!」
何かの匂いはしてるにしても、いいにおいではないと思う。
でも、そう言ってくれると嬉しかった
「…朝ごはん、作った」
「嬉しい!何作ってくれたの??」
キッチン一緒に行こー。と手を引かれて、なんと反応されるのかドキドキしながら鈴の後ろを歩いた
朝ご飯として作った謎の食べ物が入った鍋の蓋に鈴が手をかける
緊張し過ぎて思わず目を瞑ってしまった
「───わ!色んなの入ってるー!見てみて!美味しそう!」
「…?」
美味しそう?
そんな訳はない。でも時間が経ったから何か変化してくれたのかもしれない
そっと目を開いて鍋の中を覗けば作ったとき同様、あまり美味しくなさそうなものが入っていた
「嬉しい…嬉しいなあ」
このクオリティで何故こんなに喜んでくれるのか分からない
「食べていい?」
「…不味い、と思う」
「結が作ってくれたって事だけでもうすごく嬉しい
早く食べたい!」
こんなにも喜んでくれるなら作って良かったって心底思う
お椀に綺麗によそってくれたのをテーブルまで運んだ
「いただきまーす!」
スプーンが野菜を掬って、口の中に入る
その動作をどきどきしながら見守った
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