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鈴の家 side結
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side結
昨日は緊張して眠れなかった。
緊張って、こんな感じなんだ。
心臓がぎゅーっと苦しくなって、落ち着かなくなる。でも、楽しみだと感じた
よく分からないけど、とにかくそわそわしてじっとしていられなかった
鈴の実家は、優しかった。
みんな優しくて、楽しいことが沢山だった
そして俺は今、野菜の「収穫」というものをしている
野菜は意外とチクチクしているものだった
キュウリは特にチクチクだった。
「結ちゃん!虫いる!」
「…えっ」
見れば服にてんとう虫がくっついていた。
別に怖くはないけれど、不意打ちで現れると驚く
驚いた拍子に尻餅をついてしまった
ズボンの中に砂が入ってきて気持ち悪い。
立ち上がろうとするが、手にトマトを持っていたことを思い出して、立つ衝撃で潰してしまわないように座ったままでいることにした
鈴のお母さんはさっきから穫れた野菜を食べて美味しいと笑顔になる
さっき、ミニトマト。というものを食べさせてもらったけれど、甘くて美味しかった
今手に持っているこの大きなトマトも甘いのかな。
「トマトだ!」
声が聞こえて見上げれば鈴が笑顔で立っていた
「トマト以外にも沢山穫れたわよ」
「わ!すごい!」
鈴はふたりと話しながら、俺のことを抱き上げて立たせてくれた
服の砂を払ってくれて、それから頭を撫でられる
「……トマト、俺がとったの」
「上手!」
鈴の笑顔が光にあたって、本当にきらきらして見える
俺は鈴と出合えて、1番近くに居られて、そしてこんなに眩しい時間を過ごしている
それがもう、本当に、幸せだと思う。
鈴。
こんな俺なんかと一緒にいてくれて、好きだって言ってくれて、助けてくれて、素敵な時間をくれて、本当にありがと。
心の中だけでお礼を言って、収穫に戻る
いつかちゃんと、口に出してそう伝えようと心に決めた
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